インタビュー

※掲載している内容は、2017年8月1日時点のものです。

「相続税の非課税制度」その上手な活用法とは

相続税の節税を図るためには、非課税制度を上手に活用することがポイントとなります。今回は以前にもご紹介した生命保険活用(※)に加え、個人事業主に係る退職金制度における非課税制度について、ご紹介いたしましょう。
 ※2016年8月掲載「相続対策に有効な生命保険活用術」

(1)生命保険における相続税の非課税制度

①相続税での生命保険活用法

 生命保険の死亡保険金を受取る際に、相続税の非課税枠があることは広く知られており、相続人が受け取った死亡保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」の金額までは非課税となるために相続税がかかりません。
 死亡時、財産に現金がある場合は、100%相続財産となり、課税対象となりますが、生前にその現金で一括支払いの生命保険契約に加入し、死亡時に保険金で受取れば、非課税枠までは無税で現金を受け取れます。これが非課税制度の活用事例で最も効果的です。
 但し、相続税の対象となるのは、以下の課税パターンのア)の契約者・被保険者が同一である例のみであることに留意が必要です。

■契約形態による課税パターン
※アルファベットは同一人物を表示します。
契約形態 契約者 被保険者
(被相続人)
受取人 課税関係
ア)契約者=被保険者 A A B 相続税
イ)契約者=受取人 A B A 所得税
ウ)全て別人 A B C 贈与税

②相続財産の引下げ効果がある保険料相当額の贈与

 相続財産が多く相続税の税率が高くなる場合には、親から子へ保険料相当額を贈与し、子自らが保険に加入して一時所得の課税を受けた方が有利なケースも考えられます。
 これは、上記イ)契約者=受取人パターンの場合であり、贈与を受けた子が保険料を支払ったことにより子が保険金を受取るため、所得税課税となります。その課税所得は一時所得である「保険金額―払い込み保険料―特別控除額」の金額の1/2となるため、相続税の税率よりも低くなるためです。
 一方で、贈与がきちんと成立するためには、以下のような贈与の手続きに注意を払っておく必要があります。

  • 1. 贈与契約書を作成しておくこと。
    贈与契約は口頭による場合でも成立しますが、贈与の内容を書面で明確に残しておくことは重要。また、贈与契約書に基づいて口座振込等によりお金の移動が分かるようにしておく。
  • 2. 預金通帳やカード、証書、印鑑等を子が保管(管理)していること。
  • 3. 銀行印は親名義の預金の印鑑とは別のものとしていること。
  • 4. 贈与税の申告と納税をしていること。
    ただし年間110万円までの贈与は非課税のため申告は不要。

③その他のメリット

 生命保険契約では保険金受取人を指定することができるため、争族防止に効果的であったり、生命保険の死亡保険金は現金で支払われるため、現金納税が基本の相続税の納税資金の準備ができる等、生命保険にはメリットが多く存在しています。

(2)小規模企業共済制度における非課税制度

 小規模企業共済は国が全額出資している独立行政法人が運営しており、平成28年3月時点で約165.7万人の個人事業主等が加入しています。払い込んだ掛金は、事業を廃業したときや事業主等がお亡くなりになったときに退職金として受取ることができますので、個人事業主等のための退職金共済制度と言えましょう。
 小規模企業共済に加入できる方は、製造業、サービス業等を営み従業員が20人以下の個人事業主又はその法人の役員です。この業種には不動産業も入っているため、アパートから家賃収入を得て確定申告をされていらっしゃるような方も加入対象者となります。
 払い込む掛金は月額1,000円~70,000円の中から500円刻みで設定でき、払い込み方法も月払い・半年払い・年払いを選択することができます。
 ここでは、掛金を支払った時と、将来退職金等を受ける時ごとの税制上のメリットについて、ご紹介いたします。

【1】掛金支払時

その年に実際に支払った掛金の全額が、所得控除としてその年分の所得から差し引けます。この差し引ける金額には、年払によって翌年分を前払したその前払分も含まれます。

【2】受取時

①仕事を退職、又は廃業して一括で受取る場合

税法上、「退職所得」として課税されます。
受取る金額から、勤続年数20年までは1年あたり40万円・勤続年数21年からは1年あたり70万円の控除額があり、それを差し引いた残額の2分の1について所得税等がかかります。

②仕事を退職、又は廃業して分割で受取る場合

「公的年金等の雑所得」として課税されます。
各年の確定申告において、受取った年金から、年齢に応じた公的年金等控除額が差し引けます。

③中途解約した場合

「一時所得」として課税されます。
確定申告において、受取った解約手当金から50万円を差し引いた残額の2分の1の金額が所得税等の課税の対象となります。この計算において、払い込みをした掛金の総額は経費となりません。なお、途中解約をして払い込み掛金の100%以上相当額の解約手当金を受取るためには、約20年の納付期間が必要になります。

④契約者が亡くなり、遺族が受取る場合

死亡退職金として、「相続税」が課税されます。
この場合、すべての相続人が受け取った死亡退職金の合計額から、「500万円×法定相続人の数」の非課税額を差し引き、その残額が相続税の課税対象となります。

上記(1)(2)を上手に組み合わせることにより、相続税の節税を図ることと納税資金の準備を行うことが同時に達成できます。ただし契約形態によっては節税に繋がらなかったり、逆効果となってしまったりするケースも考えられるため、加入をご検討の際には必ず専門家にご相談ください。

税理士法人 新宿総合会計事務所 税理士 伏木 栄太郎さん

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※本稿は、各々の分野の専門家に作成いただいております。 本稿の内容と意見は各々の筆者に属するものであり、当社の公式見解を示すものではありません。

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