インタビュー

※掲載している内容は、2017年11月1日時点のものです。

「親子間の貸し借り」にはご注意を!
~実際にあった税務相談から~

今回は、私(伏木)が税務関係の無料相談にて相談を受けたNさんにご登場頂きます。

Nさんは、ご主人を亡くされ、生命保険金で生計を営まれています。お子さまが結婚・独立されるのを機に、住宅を持ちたいと相談され、生命保険金の中から、住宅取得資金の非課税制度を用いてお子さまに贈与をすることをお決めになりました。しかし、非課税枠の金額1,200万円だけでは住宅資金がどうしても足りないと言われてしまい、その分はNさんが息子さんに貸すことを検討しているのですが・・・。

親子間など特殊な親族関係にある者のお金の貸し借りや移動は、贈与とみなされたり、相続税の調査で指摘を受けたりする可能性があります。思わぬ税負担を発生させないためのポイントはどこにあるのでしょうか。
まずは、税務相談の内容を振り返ってみましょう。

Nさん
「伏木さん、この前、子供の住宅取得資金の優遇税制のお話をお聞きしましたよね、確か平成31年3月31日までは、親が子供に住宅取得のための資金を贈与しても、1,200万円の範囲なら、その贈与税は非課税になるという事で良かったのですよね?」
伏木
「その通りです。但し、贈与を受ける年のお子さまの年齢が20歳以上で、税法上の所得金額が2000万円以下という要件があり、かつ取得する住宅も省エネルギー等を備えた良質の住宅となっています。その点は如何でしたか?」
Nさん
「その点は大丈夫でした。しかし、さらに問題があって、贈与金額だけでは子供の住宅資金が足りないようなので、あと少しのお金は私が貸そうかと思っています。まさか、貸したお金には税金がかかったりしないか心配なんです。」
伏木
「そのお金をあげたのではなく、真に貸し付けたのであれば、贈与税は課されません。」
Nさん
「そうですか、安心しました。家を買ったあとで贈与税がかかってしまっては息子には負担となりますからね。」

とほっとされたご様子です。

伏木
「先ほど、お金の貸し借りは贈与ではないと申し上げました。
しかし、親と子、祖父母と孫などの親族間でのお金の貸し借りの場合には、税務上、注意が必要なのです。借入金の返済能力や返済状況などからみて、本当に借入金だと認められる場合には、その借入金は贈与とはされません。
ところが、少額であったりすると、親子間・親族間では借入の契約書といった書類を作らない場合も多いですよね。このような場合には、借りたことの証拠がないので、贈与と認定される恐れがあります。
また、契約書を作って形式を整えていたとしても、きちんと返済をしていないと、税務署から贈与とみなされる恐れがあります。ですから、贈与ではなく、借入金であることが認められるように準備しておく必要があります。」
Nさん
「なるほど。貸し借りであっても贈与とされる場合があるということですか。贈与となってしまったら、税金の負担が大変ですよね。贈与と言われないようにするためには具体的にどんなことに気を付ければいいんですか。」
伏木
「親族間の貸し借りを贈与とされないためのポイントは3つです。詳しくご説明しますと……」

ここがポイント「借入金」と「贈与」の分かれ道

①金銭消費貸借契約書を作成して、当事者が署名捺印する。
借入金額・利息・返済期間等の借入条件をきちんと記載すること。また、借入金の金額に応じた収入印紙を貼り、消印すること。
②契約書の中に、利息の条項を入れる。
市中金利より極端に低い金利や無利息の場合には、借り手に経済的利益が生じるため、贈与税が課される可能性あり。
③契約書に従い毎月確実に返済する。
現金による返済ではなく、銀行振込で返済している証拠を残しておくこと。
Nさん
「契約書に決めたとしても、銀行ではなく私に返すのだから、その返済は多少遅れてもいいですよね?」
伏木
「いいえ、Nさん、多少遅れてもいいという気持ちがあると危ないです。親族間の貸し借りだと、『ある時払いの催促なし』とか、『出世払い』ということになりやすいのですが、そのような場合には贈与とされてしまう可能性がありますので、契約書の条件のとおりに返済してもらうことが一番大事です。」

以上、今回のような親族間のお金の貸し借りは、当事者間では贈与でないと思っていても、贈与とみなされることがあります。 多額の現金を動かすときなどには、このような思わぬ課税トラブルが潜んでいるケースもありますので、まずは専門家に相談することをお勧めします。

税理士法人 新宿総合会計事務所 税理士 伏木 栄太郎さん

お話をうかがった方

税理士法人 新宿総合会計事務所 税理士

伏木 栄太郎さん

「お年寄りの味方」を合言葉にした税務相談は、高齢者にとって、 丁寧でわかりやすいと好評

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※掲載している内容は、2017年11月1日時点のものです。

※本稿は、各々の分野の専門家に作成いただいております。 本稿の内容と意見は各々の筆者に属するものであり、当社の公式見解を示すものではありません。

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