いきいき生活の知恵

第2回

「老後資金」目標額に届かないとき


第2回のコラムは、誰もが不安に思う「老後資金が不足しそうな時にどうすればいいのか?」というテーマについて、ファイナンシャルプランナー(FP)畠中雅子さんにお話をうかがいました。 貯めどきの今すべきこと、老後資金の備え方についてご紹介します。

「老後資金が希望する金額に届きそうにない」
そんなときはどういう対策を立てるべきですか?

「老後資金が希望する金額に届きそうにない」
そんなときはどういう対策を立てるべきですか?

老後資金の目標額が正しいか見直してみては。

老後資金の目標額が正しいか
見直してみては。

老後資金を貯めているものの、どうしても希望の金額には届きそうにないという場合、皆さまだったら、どのような対策を講じますか?
 「運用して殖やす」あるいは「節約して、貯蓄に回す」といった方法を考える方が多いのではないかと想像します。もちろん、どちらも正しい行動だとは思いますが、運用や節約を考える前にすべきは、老後資金の目標額を変えることです。がんばっても希望額には届きそうにないと訴える方の話を聞いていると、そもそも老後資金の目標額が間違っている(=実力よりも高い金額になっている)ことが多いからです。
 間違った目標額になんとか到達させるために、運用して殖やすことを考えると、本来とどめられるリスクよりも、高いリスクを取ってしまいがち。これは運用そのものを否定するものではなく、運用を考えるのは、老後資金の正しい目標額が定まったのち、リスク許容度に合った運用方法を考えるのが正しいと思うからです。
 節約については実行に移しやすいテーマではあるものの、現実にはそれほど節約効果が望めなかったり、教育費のように親の意思でコントロールしづらい支出もあります。高校生や大学生のお子さんを育てているあいだは、親側が節約の努力をしたとしても、教育費のほうに流れて節約効果が出にくいのが一般的だからです。

POINT!
老後資金の目標額を変えてみる。

「実現可能な目標額」を見積もってみましょう。

「実現可能な目標額」を見積もってみましょう。

 まず大切なのは、「自分の力で達成できそうな目標額」を見積もってみること。そのためには、1年間に貯めた貯蓄額を調べて、その金額を基に老後資金の目標額を導き出すのが適切な方法です。

《1年間の貯蓄額がわからない方》
 通帳を取り出して、昨年の今の時期と今年の預金残高を比べてみるとよいでしょう。

《運用をしている方》
 運用残高の過去の推移から、今年1年の運用残高の増減を確認しましょう。1年間に増えた(あるいは減った)貯蓄額がわかれば、これから実際に貯められそうな金額を予想できます。

 実際のところ、【実現可能な目標額】を定めないと、老後資金を貯めるモチベーションを維持するのは難しいと思います。高い目標額を掲げても、現実的に目標額に届かなければ、絵に描いた餅になるだけ。仮に高い目標額に届いたとしても、それが頑張りすぎた結果だとしたら、現役時代の生活から楽しみをかなり奪ったことになるでしょう。

老後資金の目標額を減らすために 効果的なのは「住み替え」

老後資金の目標額を減らすために効果的なのは「住み替え」

 ところで、老後資金として貯めるべき金額は、前回の記事でご紹介した通り、「年金生活における年間の赤字額」で決まります。年金生活での赤字が多いご家庭は、老後資金の目標額も高く設定しなければなりません。逆に赤字が少ない方は、老後資金の必要額も減らせます。
 自分が貯められそうな「老後資金額」と「年間の赤字」の総額を比べてみて、かなりの差がある(=不足しそう)という場合は、年金生活での赤字を減らす方法を考えましょう。いくら貯蓄の目標額を下げていいといっても、赤字の総額との差額が大きければ、赤字額を減らす努力も必要。赤字を減らせば、老後資金の貯蓄目標額も引き下げられるからです。

 赤字額を減らす方法のひとつとして、住み替えを検討できます。たとえば、古くて広い一軒家から、駅から近いコンパクトなマンションに住み替えれば、電気やガス代などのランニングコストが抑えられますし、固定資産税も安くなるケースが多くなります。年金暮らしのときにかかる修繕費用を抑えられますし、年を取った時に車を手放すことができるかもしれません。言い換えれば、自宅に固執して修繕費用などがかさむと、日々の生活費を節約しても年間の赤字を抑えにくくなります。
 いっぽうで、賃貸暮らしをしようと思っていたけれど退職して通勤に縛られなくなったという場合、手持ちの貯蓄で買えるくらいの中古のマンションを購入する方法もあります。住居費の負担がなくなると老後の生活費が減るので、年間の赤字額を抑えられます。こちらも、車を手放せるような場所を選べば、車関連の費用の分だけ赤字を減らせるでしょう。

でも住み替えには抵抗がある…という方 迷ったら「どちらが嫌か」で判断してみる

でも住み替えには抵抗がある…という方
迷ったら「どちらが嫌か」で判断してみる

住み替えについてのアドバイスをすると、「住み慣れた場所からは絶対に動きたくない」という反応が返ってくる機会がたくさんあります。そのようなときはこのようにたずねています。
①住み慣れた場所にこだわって貯蓄が底を突く
 ②知らない場所で再スタートしなければならないものの、老後資金が足りる目途が付く
あなたはどちらが嫌ですか?」
と。
「どちらが良いですか?」と聞くと返答に迷う方も、「どちらが嫌ですか?」と聞くと、答えを出してくれるケースが多いからです。
 あくまでも住み替えは、ひとつのアイディアにすぎず、老後資金が不足しそうなときは「少しでも長く働く」「退職後も数万円はアルバイトをして稼ぐ」など、ちょい稼ぎで乗り切る方法など、いろいろな方法を組み合わせて赤字を減らすのが現実的な対策になります。

老後だけ、楽しめる人生はない!?

老後だけ、楽しめる人生はない!?

 家計診断をしていると、「欲しいものがあるけど、このお金を使ってしまうのが、コワい」とか「海外旅行に行きたいけれど、貯金が減るのがいや」など、使いたい意思はあるのに、使えずに足踏みをしている方によくお会いします。欲しいもの、やりたいことをひたすら我慢して、ある程度の老後資金を貯めたとして、老後だけ、楽しい人生が送れるでしょうか。個人的には疑問です。
 同じ場所の風景でも、40代で見たときの印象と、60代で見る印象は違うと思います。若いうちにできること、あるいはしたいことは、先送りにしないほうが良いと個人的には考えます。いつまでも健康な状態で、好きなことができるとは、誰も保証してくれないからです。
 老後資金を貯めながら、自分の好きなこともする。一見、矛盾につながりそうな内容ですが、要はメリハリをつけた生活をすること。つまり、お金をかけてもいい費目と、節約すべき費目をきちんと整理して、お金の使い方も割り切ることが大切なのだと思います。
 「頑張っているのに貯金が増えない」「欲しいものがあるのに、お金がなくて買えない」などなど、嘆く時間が多い方は「自分の力に合った貯蓄をしているから、周囲の人のペースと違ってもいいんだ」「欲しいものを手に入れたんだから、貯蓄が減っても気にする必要はないんだ」のように、受け止め方を変えてみるのもお勧めです。

目的を明確にすることで生まれる心の変化

目的を明確にすることで生まれる心の変化

 最後に、私の金銭感覚の変化の話をします。前回の記事で、私は今、旅行にお金をかけていることをお話ししました。今までも、家族の行きたいところへは頻繁に旅行に出かけていましたが、自分のために旅行するようになってから、お金の使い方が変わりました。ひと言でいうと、物欲がまったくなくなったのです。
 それまでの私は、ストレス解消と称して?20~30万円のブランド物のバックをよく買っていました。しかも、「どちらにしようか」と悩んだときは、両方とも購入するのが常。ファイナンシャルプランナーとしては、お恥ずかしい限りの消費行動です。そんな私が最近では、「どちらにしようか」と悩んだときは、どちらも買わずにすませています。「どちらにしようか悩む」のは、「それほど欲しいものではないんだ」と割り切れるようになったからです。
 物欲がなくなってみると、これまでのお金の使い方を反省するとともに、自然と持ち物の整理をするようになりました。今、旅行以外にお金を使っているのは、スマホやiPadで撮った写真をアルバムにすることくらい。以前に比べて支出は減っているのに、心は穏やかになりました。あと10年くらい早く今のような心境になれていたら、貯金はかなり増えていたのではないでしょうか(苦笑)。

ファイナンシャルプランナー 畠中雅子さん

お話をうかがった方

ファイナンシャルプランナー

畠中 雅子 さん

【プロフィール】
大学時代にフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。
新聞・雑誌。ウエブなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、 講演、相談業務などをおこなう。
教育資金アドバイスを行う「子どもにかけるお金を考える会」、高齢者施設への住み替え資金アドバイスを行う「高齢期のお金を考える会」、主にひきこもりのお子さんの生活設計を考える「働けない子どものお金を考える会」を主宰している。
著書は、「貯蓄1000万円以下でも、老後は暮らせる!」(すばる舎)ほか、60冊を超える。
プライベートでは、社会人の娘、大学生と高校生の息子の母。

ファイナンシャルプランナー 畠中雅子さん

お話をうかがった方

ファイナンシャルプランナー

畠中 雅子 さん

【プロフィール】
大学時代にフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。
新聞・雑誌。ウエブなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、 講演、相談業務などをおこなう。
教育資金アドバイスを行う「子どもにかけるお金を考える会」、高齢者施設への住み替え資金アドバイスを行う「高齢期のお金を考える会」、主にひきこもりのお子さんの生活設計を考える「働けない子どものお金を考える会」を主宰している。
著書は、「貯蓄1000万円以下でも、老後は暮らせる!」(すばる舎)ほか、60冊を超える。
プライベートでは、社会人の娘、大学生と高校生の息子の母。

※掲載している内容は、2017年11月1日時点のものです。

※本稿は、各々の分野の専門家に作成いただいております。 本稿の内容と意見は各々の筆者に属するものであり、当社の公式見解を示すものではありません。

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