インタビュー

※掲載している内容は、2018年6月1日時点のものです。

相続税申告はもう他人事ではありません

新宿総合会計事務所の税理士伏木栄太郎です。このコーナーの第1回で「相続税が他人事ではない時代が始まりました」を掲載してから、早いもので、3年が経過しました。今回、第1回の続編として、その後の状況を掲載します。
 相続税の基礎控除額の引下げにより、相続税は一部のお金持ちだけの話といった認識から、我が家でも考えておかなければならない問題(=他人事ではない)なのだという意識の変化が浸透しつつあると思います。

■相続税の課税対象者は倍増!

 国税庁が毎年公表している資料(※図表1参照)によると、平成27年1月に相続税の基礎控除額が引下げられる以前は、全国でお亡くなりになられた方のうち、相続税が課税されていた方の割合(課税割合)は約4%でした。引下げが行われた後の平成27年中にお亡くなりになられた方約129万人のうち10.3万件が相続税課税となり、課税割合は8.0%と前年より倍増いたしました(平成28年も同様に課税割合8.1%)。特に地価の高い東京都心では、この課税割合は約15%と言われています。
※国税庁ホームページ「平成28年分の相続税の申告状況について」「平成28事務年度における相続税の調査の状況について」より引用

図表1 相続税の課税状況の推移

図表1 相続税の課税状況の推移 グラフ

ワンポイントアドバイス

  • 1.相続税の申告期限は、「被相続人が亡くなってから10ヶ月以内」
  • 2.相続税の申告範囲は、「相続財産が基礎控除額を上回った場合は申告要」
※基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人数

■相続税の申告忘れに注意!

 一方で、相続税の申告義務があるにも関わらず、その申告期限までに申告書が提出されない「無申告」の状態が散見されるようです。
 国税庁では、ホームページで「納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、無申告事案の把握のための取組を積極的に行う」と明記し、税務当局による実地調査(以下、調査という)を厳格化しています。
 下記の図表2をご覧ください。国税庁のホームページで公表されている相続税と贈与税に関する調査状況を表わしたものです。

図表2 相続税等の実地調査件数(平成28事務年度)

相続税申告 相続税無申告 贈与税申告
①平成28事務年度実施件数 12,116件 971件 3,722件
②課税誤り件数(申告漏れ等) 9,930件 751件 3,434件
③指摘を受けた割合 82% 77% 92%
④実地調査1件あたりの追徴税額 591万円 708万円 1,218万円
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 相続税の申告事案への調査は年間12,116件実施され、1件あたりの追徴税額は591万円、これに対し無申告事案への調査は年間971件、1件あたりの追徴税額は708万円と、申告した事案よりも高い追徴税額となっています。しかも、ここでご紹介した調査状況は、平成26年の相続税の基礎控除引下げ前の相続開始への調査であるため、翌27年以降の調査は更に厳しくなっているものと推察します。
 無申告の指摘を受けると本税はもちろん、追加で加算税が徴収されるため、この点は特に注意したいものです。

ワンポイントアドバイス

■無申告加算税
  • ・調査の通知から調査前までの申告

    納付すべき税額の10%(15%)

  • ・調査による申告

    納付すべき税額の15%(20%)

( )書きは、納付すべき税額の50万円超の部分に対する税率です。
■過少申告加算税
  • ・調査の通知から調査前までの申告

    納付すべき税額の5%(10%)

  • ・調査による申告

    納付すべき税額の10%(15%)

( )書きは、納付すべき税額の50万円超の部分に対する税率です。
■無申告加算税に代えて課される重加算税
  • 40%

■過少申告加算税に代えて課される重加算税
  • 35%

■延滞税
  • ・納期限から2ヶ月を経過するまで

    H30.1/1~12/31は年2.6%

  • ・納期限の2ヶ月経過後

    H30.1/1~12/31は年8.9%

( )書きは、納付すべき税額の50万円超の部分に対する税率です。

 もともと相続税等の調査は他の税目と比べて非常に厳しく、税務調査の連絡があった時点で当局がすでに何らかの申告漏れを把握していると言っても過言ではないと言われています。上記図表2の通り、相続税申告事案への調査において指摘を受けた割合は82%と、いかに厳しいものであるかがうかがえます。
 これは、一般的にひとりの被相続人に係る相続税の調査は1回きりのため、税務当局も十分な調査が必要との認識があるからとも言われています。
 さらに、近年は贈与税の優遇税制が充実しているため、贈与税の申告件数は増えていますが、それに伴い贈与税の調査も増加し、厳しいものになってきたと言われています。例えば、贈与税の調査1件あたりの追徴税額は、1,218万円と相続税の場合より大幅に上回る結果となっています。

■まずやるべき事は!

 このように税務当局から調査で課税誤りの指摘を受けると、過少申告加算税や延滞税などを追加して負担しなければなりません。申告漏れ(間違いを含む)の指摘を受けた財産で一番多いものは「現金・預貯金等」です。申告漏れを避けるための事前準備としては、相続税試算を通じた財産の洗い出しが非常に重要な意味をもちます。
 確定申告を終えて税務上はいち段落したこの時期、専門家を交えてゆっくりと相続財産のたな卸しをしてみてはいかがでしょうか。

ワンポイントアドバイス

「相続税での申告漏れ」指摘のNo1は、「現金・預貯金」で全体の33.1%の1,070億円。
しかし、より注意したいのは、「贈与税の現金・預貯金の取扱」。贈与税での申告漏れ(間違い含む)指摘を受けた財産の75%が「現金・預貯金」と大半を占める。

詳しくは、「相続税の対策=贈与。でもそこに落とし穴が!」

税理士法人 新宿総合会計事務所 税理士 伏木 栄太郎さん

お話をうかがった方

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※掲載している内容は、2018年6月1日時点のものです。

※本稿は、各々の分野の専門家に作成いただいております。 本稿の内容と意見は各々の筆者に属するものであり、当社の公式見解を示すものではありません。

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