身近な税金のこと
第5回 円満な相続のための大切な“3つのキーワード”
※掲載している内容は、
2016年2月19日時点のものです。
みなさまこんにちは。
小欄を担当させて頂きます、新宿総合会計事務所の税理士伏木栄太郎(ふせぎえいたろう)です。税に関するお役立ち情報の第5回目をお届します。
相続において財産を遺す方と受取る方、双方にとって満足のいくものにするために押さえておきたい大切なキーワードがございます。それは「節税」「遺産分割」「納税」です。

■キーワード1「節税」
税金の計算は、税法や各種通達を駆使して税額を算出していきますが、その過程において合法的に財産の評価額を下げられるものがあるのであれば、それらの条文を余すことなく適用していく必要があります。
例えば土地の評価。相続財産のうち土地の占める割合は一般的に約45%と最も多く、その評価が納税額に大きな影響を与えます。土地の形が整形で無かったり、周辺に比して広大であったり、自治体から各種の制限がかかっていたり・・・。その評価で申告書の景色はがらりと変わってきます。一方で現金については、相続税率と贈与税率を比べ、計画的な生前贈与や、時限立法の贈与の特例などを実行することも重要な節税策です。
■キーワード2「遺産分割」
また相続税の優遇税制は、分割協議がまとまることを条件に適用できるものばかりです。例えば土地の評価を最大で80%圧縮することのできる小規模宅地等の減額制度や、一定額までの取得であれば相続税額が発生しない配偶者についての軽減制度などですが、その減額金額が大きいため、これらのケースでは如何に分割協議を申告期限の10ヶ月以内に完了させるかがポイントになります。そのためには財産形態を分割し易い構成に事前に組み替えたり、機動的に分割ができるよう金融資産の構成を増やす必要もあるかも知れません。これが二つ目の「遺産分割」です。
■キーワード3「納税」
さて、上記二つをクリアすると、相続対策はもう十分と錯覚しがちですが、実はこの三つ目の「納税」こそが、最も重要なキーワードなのです。相続税は不動産や未上場株式など換金しにくい財産を取得した場合でも、現金で納税しなければならない特殊な税金です。納税資金を確保するため、生命保険の加入や不動産の売却、または延納や物納の手続きの必要に迫られるケースも多くあります。しかし、例えば生命保険は受取人固有の財産のため、分割協議を経ず短期間で相続人が納税資金を手立てすることができますので、このキーワードの観点では非常に優れています。
現状分析により相続税がいくら発生するのかを見積もることは、その相続税を手元資金で手当てできるのか否かを事前に確認しておく作業です。これが円満な相続を迎える第一歩と言っても過言ではありません。

コラム執筆者
新宿総合会計事務所 税理士
伏木 栄太郎 さん
- ※掲載している内容は、2016年2月19日時点のものです。
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