■「贈与税の優遇税制」のポイント
一般的に「贈与」というと毎年一定額を贈与することを想定しますが、この贈与税制のポイントは、「未来に必要な資金等を、まとめて一括贈与しても“非課税”となる」ことです。
「教育資金」と「結婚・子育て資金」の贈与税制に分けて見ていきます。
(以下、※印部分が2019年税制改正の内容)
1.教育資金の子・孫への贈与税制
教育資金に関する贈与の優遇税制は2013年の税制改正で創設され、以下の通りです。
◇教育資金の贈与税制の概要
- ・30歳未満の子や孫1人につき、1,500万円まで贈与税が非課税となる
(※うち、学校以外の習い事も認められるのは、限度500万円であるが、2019年7月1日以後に支払われる教育資金から、23歳以上の贈与を受ける方にかかわる趣味習い事等の費用は除外されることとなった)
- ・贈与する金銭を金融機関等に信託する方法で行う
- ・教育資金(入学金、授業料、入園料、受験料、定期代、修学旅行費、給食費などの支払い)に充てた領収書を金融機関に提出する
- ・贈与として信託する期間(金融機関等での手続き完了日)は2021年3月31日までと期限がある
(※2019年4月1日以後の贈与については、贈与を受ける方の贈与年の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、この優遇税制を受けることができなくなった)
この贈与税の優遇税制は開始から6年目に入りました。実際に活用された方が認識されたメリットと留意点は以下の通りです。
◇教育資金贈与の留意点
(注)教育資金以外での支出をした場合には、通常の贈与税が課税される
2.結婚・子育て資金の贈与税制
この制度は、「教育資金」の一括贈与の好調を受け、「結婚・子育て」等を後押しするため、2015年の税制改正で創設されました。
非課税となる使い道は、「結婚」「出産」「子育て」に限定されます。教育資金の一括贈与との違いは、贈与した方が死亡された際、残額に相続税が課される点です。その影響か、同制度の活用件数は、同信託協会によると2018年3月末で5,343件となっており、1件あたりの贈与金額も280万円と、教育資金の場合(約700万円)と比較して少なくなっています。
実際に活用されている方が認識されたメリットと留意点は以下の通りです。教育資金の場合と同様な内容でもありますが、再掲いたします。
◇結婚等資金贈与のメリット
- ・相続税の節税につながる
- ・資金使途が明確かつ慶事(結婚等)であるため、贈与する方の意図が明確となり、感謝されている現状がある
◇結婚等資金贈与の留意点
(注)結婚資金以外での支出をした場合には、通常の贈与税が課税される
今回ご紹介した2つの贈与は、相続税対策において重要なポイントとなります。本制度の使い方も大きな鍵を握ると考えられますので、贈与等をご検討の際には専門家へご相談ください。
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