インタビュー
相続税が他人事ではない時代が始まりました
※掲載している内容は、
2015年8月1日時点のものです。

お話をうかがった方
新宿総合会計事務所 税理士
伏木 栄太郎 さん
みなさま初めまして。
今回より小欄を担当させて頂きます、新宿総合会計事務所の税理士伏木栄太郎(ふせぎえいたろう)と申します。皆様の生活と密接に関係する、相続税・贈与税・所得税といった個人にまつわる各種税金を全12回にわたって採り上げて参ります。小欄が、皆様にお読み頂くことで税金に対する不要な心配を取り除き、安心した生活を送る一助となれば幸いです。よろしくお願いします。
記念すべき第一回は、ショッキングな見出しで驚かれた方も居られるかもしれませんが、今年大きく変わった相続税のお話です。
■相続税の基礎控除の引き下げ
さて、平成27年1月1日より、相続税の基礎控除額が引き下げられている(下欄参照)ことはご存知でしょうか。お亡くなりになった方のプラスの財産からマイナスの財産を差し引き、その金額が基礎控除額よりも少ない場合には相続税は発生しませんし、申告書を提出する必要もありません。逆にその金額が基礎控除額を超えた場合には、お亡くなりになってから10ヶ月以内に申告書を提出しなければなりません。
<改正前>
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
<改正後>
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、法定相続人が配偶者含め3名の場合、8000万円まで非課税でしたが改正後は4800万円となり、一挙に3200万円も低下しています。
■東京都心では約15%の方に相続税が
基礎控除額が改正されるまで、全国でお亡くなりになった方のうち相続税が課税されている方の割合(課税割合)は、過去20年間、4~5%ほどで推移していました。改正によりこの割合が6%台に増えることが見込まれています。東京都心に限って言えば、既に平均で約10%の課税割合がありますので、改正後では約15%の方が相続税の心配をしなければならない時代になりました。
■まずは試算してみましょう
ご自身に相続税がかかるかどうかの試算は概算であればそう難しい作業ではありませんので、一度計算なさってみてはいかがでしょうか。その手順をご紹介します。
まずはご自身の名義で所有されている資産を洗い出していただきます。預金残高、その他有価証券残高、ご自身の生命保険(死亡保険金額)は、その所有金額が相続財産となります。さらに問題はご自宅の不動産等です。これは、ご自宅の前にある道路に付されている路線価を国税庁のホームページから調べる事が出来ます。その路線価に面積を乗じて、土地の相続税評価額を算出します。また毎年市区町村から送られてくる固定資産税の課税明細書の家屋の欄に「評価額」が記載されています。この評価額が家屋の相続税評価額になります。これらの土地・建物に先ほど確認した預金残高を加え、その他有価証券や生命保険を足し合わせた価額と、基礎控除額を比べてみて下さい。
いかがでしょう?今まで相続税なんて一部のお金持ちだけが負担するもので、ご自身には縁の無いものと思っていたのに、計算した数字が簡単に基礎控除額を超えてしまった、という方が意外に多いのではないでしょうか。
でもご安心下さい。相続税には申告書を作成するうえで、基礎控除以外に配偶者の税額軽減等の控除や様々な優遇税制がございます。また贈与税が非課税となる制度も近年は充実しています。これらを上手に組み合わせてまずはしっかり税金対策をし、そして遺産分割の場面では相続人間で争いが起こらないような相続財産のカタチに整え、もし必要なら納税資金についても準備をしていく。次回よりこれらの具体策をこの連載を通して皆様にご紹介していきます。
- ※掲載している内容は、2015年8月1日時点のものです。
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このページの保険料および保障内容などは、
2015年5月21日現在のものです。
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