インタビュー

※掲載している内容は、2016年9月1日時点のものです。

『争族』で遺産分割協議がまとまらないと!

これまでのコラムでも説明してきました”相続税の優遇税制”の中には、「争族」により遺産分割協議が申告期限までにまとまらないと、適用できないものがあります。
 今回のコラムでは、「争族」を起こさないために、財産を分け易いかたちにしておいたり、”終活”を通じて相続のことを考えたりしておくことが、ひいては相続税の節税に繋がる事をご紹介します。

■相続税の申告時に困るケースとは

 相続税申告の実務上悩ましいのが、戸籍等の準備や税法上の財産評価も終わり、各金融機関での必要書類も手元に届き、さあ、詰めのお打ち合わせをしましょう、という段階で「争族」により遺産分割協議がまとまらないケースです。
 『相続のことは全て任せるよ』と言っていた親族が、申告書の数字として相続財産を見た途端に態度が豹変、なんていうことがままあります。
 例えば、「自宅は母と同居する長男が取得、家業の事業用資産もそれを継いでいる長男が取得、相続税を納税するためには預貯金も長男が取得せざるを得ない」という場合には次男や三男が取得する財産がほとんど無くなり、各人の法定相続分にはとても届かないでしょう。この例だと「争族」となりそうなケースですね。

 相続税はどのような相続財産であっても、原則、現金で納付しなければなりません。そして申告期限はお亡くなりになってから10ヶ月以内とされています。もしもその日までに遺産分割協議が確定していない(以下、この状態を「未分割」と言います)と、余計な税負担が発生してしまいます。それは、未分割の状態では、相続税を計算するうえで、次のような優遇制度を適用することができないためです。

【未分割のままでは優遇適用出来ない税制】

①配偶者の相続税額の軽減
配偶者が取得した財産は、法定相続分と1億6,000万円の大きい方までは相続税がかからない
②小規模宅地等の減額
事業の用や居住の用ならびに貸付の用に供していた土地は、一定面積までの80%又は50%までは相続税がかからない、など

 これらの優遇税制を適用するには、申告期限までに分割協議を整え、申告書を提出しなければなりません。逆に未分割だと、いったん相続税を国に納めて、分割協議が確定した後、一度納めた税金を戻して下さい、という申告をしなければなりません(こちらは申告期限から3年以内である必要があります)。これらに費やす時間や労力は相当なものになります。

■「争族」を避けるためにしておくべきこと

 「争族」を避けるためには、事前に相続財産を相続対象者に分け易いかたちにしておくことが大切です。しかし、残された財産がほとんど不動産だったり、家業で商売をされていた場合など、実際には、法定相続分で均等に分けるほうが難しい場合も多くあります。その対策として、効果的なのが遺言書の準備があります。遺言書(またはエンディングノート)に『平等な分け方になってはいないが、それに至るこういった事情や想いを酌んで納得してほしい』と書き残されていたら、受ける印象も変わってくるでしょう。
 また先ほどの例で言えば、長男を受取人とする生命保険契約を締結し、長男が受け取った保険金から現金で次男や三男へ「代償分割」させることも効果的な対策です。

 相続税の世界では、ほんのちょっと取扱いを誤ると大きく「損(ソン)」をしてしまったり、わずかな工夫で物事がすんなり進んでいったりします。大切なのは、”終活等”を通じ、現状の財産がどれくらいの評価となり、どれくらいの相続税の負担が生じるかを今のうちから把握しておき、その内容に応じた対策を検討しておくことです。

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※掲載している内容は、2016年9月1日時点のものです。

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