大切なペットとの“いきいき”とした暮らしのために
犬猫お役立ち情報
犬の生活
犬の血便の原因は?ゼリー状の粘液が付着しているなど状態別の緊急度を解説
犬の便は健康状態を知る手がかりになります。愛犬が血便を出した場合は、なにか病気にかかっているのではと心配になりますよね。
血便とひと口にいっても、さまざまな状態があります。愛犬が血便を出した場合はすぐに片付けず、じっくり状態を観察しておくと動物病院に行った際に役に立ちます。
本記事では、血便の原因や状態別の緊急度、チェックポイントなどを解説します。
犬の血便の原因
犬の血便は下記のような原因が考えられます。
それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
異物誤飲
異物誤飲とは、本来食べてはいけないものを口にして飲み込むことです。おもちゃや竹串、つまようじなどを飲み込むと、胃腸が傷ついて出血し、血便になります。
また、異物誤飲は、血便のほかに腸閉塞などの原因になることもあるため注意しましょう。
異物を誤飲して時間が経つと腸が壊死したり、穴が開いて腹膜炎を起こしたりするなど危険性が高いです。
除草剤にも注意
除草剤を口にした場合にも、血便になる可能性があります。除草剤は短期間で代謝され、多くは無毒化され排泄されますが、成分によっては強い毒性を示すものもあります。この場合、血便の他にも嘔吐や下痢、けいれんなどの症状が表れることがあります。庭に除草剤をまいたあとは、愛犬を庭に出すのは控えるとよいでしょう。
また、犬の散歩コースに除草剤がまかれている場合もあります。散歩途中に除草剤がついた雑草をなめたり、身体についたことを知らずになめたりした場合にも、血便になることがあるため注意しましょう。
一般的に春先の2~3月、秋口の9~10月に除草剤を散布することが多いため、特にその時期は注意が必要です。
ストレス
犬はストレスが原因で血便になることがあります。犬は人が考える以上にストレスを感じる動物です。
ストレスの原因には、家族が増える、引っ越し、飼い主の生活リズムの変化のような環境の変化などが考えられます。
ウイルスや寄生虫
ウイルスや寄生虫の感染により、消化管に炎症が起きて、血便になることがあります。
たとえば、鞭虫(べんちゅう)や鉤虫(こうちゅう)が寄生していた場合、これらの虫が腸粘膜に噛みついて出血することもあります。
また、ウイルスに感染した場合も出血することがあります。たとえば、犬パルボウイルス感染症にかかると、血便・下痢・嘔吐などの症状が見られます。特に子犬や老犬は免疫力が低く、重症化する可能性があるため注意が必要です。
血便の原因となるウイルスには、ワクチンで予防できるものもあるため、必要に応じてワクチン接種を検討しましょう。
アレルギー
食べ物によるアレルギー症状でも、犬は血便になることがあります。
アレルギーによる血便の場合、同時に皮膚トラブルを発症するケースも多く見られるため、犬の皮膚の状態も併せてチェックしましょう。
疾病
胃や腸、肛門などの消化器官に異常が出た場合に、血便となる可能性もあります。
犬に血便が表れる疾病として、たとえば次の4つが考えられます。
それぞれの疾病について解説します。
胃腸炎
胃腸炎は胃や腸の粘膜に炎症が起こった状態です。出血性胃腸炎は、腐った物を食べたり、異物を飲み込んだり、感染症や食物アレルギーなどが原因となって発症します。
出血性胃腸炎の症状として、ジャムのような血便や嘔吐が見られる場合があります。
胃潰瘍
胃炎が悪化して、胃潰瘍になることがあります。進行すると穴があくこともあるため注意が必要です。穴があいた場合は、吐血や真っ黒な下痢(血便)、貧血が見られます。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍の症状に血便があります。
十二指腸潰瘍の原因としては、他の潰瘍からの転移やストレス、ステロイドなどの薬の服用などがあります。
肛門のう炎
肛門近くにある「肛門のう」が炎症を起こし、悪化した場合、血便になることがあります。
犬の肛門の近くにある「肛門腺」という分泌器官の分泌液が筋力不足により排出されなかった場合、肛門のう炎になることがあります。
犬の血便の緊急度|状態別
ここでは、犬の血便の状態別に緊急度を紹介します。
鮮血で便が赤くなっている場合
鮮血で便が赤くなっている場合の緊急度は、低〜中程度です。
下記のような複数の原因が考えられます。
血便が治らない、血液量が増えてきた、血便以外の症状が見られるといった場合は、動物病院を受診しましょう。
血便にゼリー状のものがついている場合
血便にゼリー状の粘液がついている場合、緊急度は低〜中程度です。
大腸の粘膜が傷つき、剥がれ落ちることで粘液状となり、出血を起こしている可能性があります。
原因としては食べすぎ、ストレス、食物アレルギーなどがあります。食べすぎやストレスが原因の場合はしばらくすると治ることもありますが、食物アレルギーによる炎症や下痢、便秘などが続き、胃腸が弱っている場合は治療が必要です。
便にゼリー状のものがついていた場合は、消化しやすい食事に変えてみるとよいでしょう。ドライフードの場合は水を加えてふやかして与え、2~3日ほど安静にしつつ様子を見ます。
それでも症状に改善が見られない場合は、動物病院を受診しましょう。
ふだんより便が赤黒くなっている場合
ふだんよりも便が赤黒くなっている場合やタールのように黒い便の場合は、緊急度が高いといえます。イチゴジャムのような血便が見られる場合もすぐに対処が必要なため、早急に病院に連れて行きましょう。
赤黒い便は、血が混じっている可能性が高い状況です。口・胃・小腸などの、肛門から離れた部分で出血している可能性もあり、場合によっては鉄のような臭いがすることもあります。
赤黒く、水っぽい血便や粘り気を持つ血便
トマトジュースのような水っぽい血便や粘り気を持つ血便は特に緊急度が高く、ウイルスや細菌感染の可能性があります。
便に異臭を伴ったり、発熱や嘔吐が見られたりした場合は、パルボウイルスやサルモネラなどの細菌感染が考えられます。特に犬パルボウイルス感染症は、子犬がかかりやすく、命にかかわる可能性がある感染症のため、すぐに獣医師の診断を受けましょう。
犬が血便をした場合、病院へ行く前に確認すべきポイント
犬が血便をした場合に病院へ行くときには、次の6つのポイントを確認しておきましょう。
犬の便の状態はどうか
先述したように、血便には、鮮血が混じる、ゼリー状のものが付着する、ふだんより赤黒いなど、さまざまな状態があります。
便がどのような状態かチェックしておくと、獣医師に説明しやすくなります。また、犬の便をスマートフォンなどで写真に撮っておけば、便の状態だけでなく、便をした日時や回数を簡単に確認できます。便を調べると寄生虫の有無などがわかるため、できれば便を動物病院に持って行きましょう。
食欲不振か
血便が出た場合、犬に食欲があるかどうかをチェックしておきましょう。
食欲不振にも、嫌いな物だけを食べない、ふだんのフードを食べない、大好物のおやつも食べないなど複数の状態があります。
犬の食欲不振の理由としては病気だけでなく、食事の変化、加齢、ストレスなどが考えられます。
血便が出て食欲不振の場合、早めに動物病院を受診しましょう。その際、どの程度の食欲不振なのか把握していると、より診断に役立つ情報を伝えることができます。
下痢を伴うか
血便に下痢を伴うかどうかもチェックしましょう。
下痢が続いた場合は、腸の粘膜から出血したり、胃や大腸が炎症を起こしたりしている可能性があります。
下痢が続くと脱水症状になることがあるため、2~3日続くようであれば、早めに動物病院を受診しましょう。
嘔吐を伴うか
血便があるときには、嘔吐症状の有無もチェックしましょう。
犬の嘔吐物には次のようにさまざまな色があります。
色 | 嘔吐物に含まれるもの | 原因例 |
---|---|---|
無色透明 | 水や唾液、胃液 | ストレス、空腹 |
黄色 | 胆汁 | 空腹、肝炎、腎臓病 |
茶色 | 食べたフード | 未消化 |
ピンク色~赤色 | 血液 | 口や胃、腸からの出血 |
赤黒い色 | 血液 | 消化管内腫瘍の破裂、心臓性肺水腫 |
血便とともに嘔吐もある場合は、嘔吐の色や状態なども確認し、獣医師に伝えましょう。
震えを伴うか
血便があるときには、犬に震えがあるかどうかも注視します。
犬は病気や寒さ、強い痛みやストレスなどで震えることがあります。犬が血便をしている場合は、震えがあるかどうか、どの程度震えているかを確認しておきましょう。
可能であれば、スマートフォンなどで動画撮影しておくと、獣医師に説明するときに役立ちます。
発熱を伴うか
血便があるときには、発熱の有無もチェックしておきましょう。犬の場合は体温計を肛門に挿して直腸温を測ります。
犬の平熱は38.5度前後で人間より高めです。それよりも熱が高く、40度以上の場合はなにかしらの病気の兆候といえます。
血便に伴い発熱の症状がある場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
愛犬が血便になったら、状況をよく確認し動物病院に連れて行きましょう
血便の原因は、異物誤飲、ストレス、ウイルスや寄生虫、アレルギー、疾病などさまざまです。
血便の状態により緊急度は異なります。たとえば、便がふだんと比較して赤黒い場合は、口や胃・小腸などからの出血が考えられるため、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
元気があり比較的軽い症状と思われても、3日以上血便が続く場合、早めの受診を検討するとよいでしょう。
また、元気がない、下痢や嘔吐を伴う、発熱しているなど、血便以外の症状が見られる場合も、早めに病院に連れて行きましょう。
- ※掲載している内容は、2024年8月20日時点のものです。
- ※ページ内のコンテンツの転載を禁止します。