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猫の生活

【獣医師監修】猫の爪切りってどうやるの?嫌がる場合は?飼い主さんの悩みを解決!

爪を切られる猫

猫科の動物は本来野外で獲物を捕獲する生活をしているので、鋭い爪はその生活に必要不可欠です。しかし、飼い猫の場合、その鋭い爪が人間と生活するうえで障害になることがあるため、猫の爪切りは飼い主の大切なケアの1つになっています。猫の爪を伸ばしたままにすると猫も人間も家も傷つき、傷口から感染症を起こすことがあります。嫌がる猫の爪を切るコツや爪切りの手順について解説します。めざせ、爪切りマスター!

猫の爪切りをしないとどうなるの?

外で暮らす猫は木に登ったり、獲物を捕まえたりすることで自然と爪の伸びすぎを防ぐことができます。しかし室内で飼われている猫にはそのような機会がないので、飼い主が爪を切る必要があります。老猫では、爪とぎの頻度が減るため特に注意が必要です。

猫の爪切りをしないでいると、猫だけでなく飼い主さんもケガをする危険が高くなり、また、家の中が傷つきボロボロになってしまうこともあります。

まずは猫の爪の構造と働きを理解しましょう

猫の爪は、玉ねぎのような多層構造です。爪をとぐことで外側の爪をはがし、内側の新しく鋭い爪を出します。ふだん、爪は肉球の間にしまわれていますが、物をつかむときなど肉球に力が加わることで、出てくる仕組みです。爪の内側の根元に見えるピンク色の部分は「クイック(quick)」と呼ばれる部分で、神経と血管が通っています。

[クイック(quick)=神経と血管]

爪の内側の根元に見えるピンク色の部分
クイック(quick)=神経と血管 爪の内側の根元に見えるピンク色の部分

猫の「爪とぎ」と「爪切り」は違います

「猫は自分で爪をといでいるから大丈夫」と思いがちですが、「爪とぎ」と「爪切り」の役割は違います。

爪とぎの役割は外側の古い爪をはがして、新しい爪を出すことです。新しい爪の先は鋭くとがっているため、布などに引っかかりやすくなっています。爪切りでその鋭い爪の先を切ることは、飼い猫が安全に暮らすために必要なことなのです。

爪を切らないとケガにつながることも

爪切りをしないと、鋭い爪の先がカーテンやカーペットに引っかかり、爪が根元から折れて出血するといったケガにつながる可能性があります。また、爪が伸びすぎると、肉球に刺さり化膿してしまうこともあります。肉球は猫にとって敏感な場所なので、痛みも強く感じ、歩くことに支障が出ることもあります。多頭飼いでは、猫同士のケンカやじゃれつきで大ケガをしてしまうこともあります。

爪で引っかかれることで起こる感染症もあります

飼い主さんが猫に引っかかれるとケガだけでなく、感染症を起こすことがあります。「猫ひっかき病」「パスツレラ症」などが代表的です。

「猫ひっかき病」はバルトネラ菌という細菌によって起こりますが、多くの場合、子猫に引っかかれたところから体内に菌が入り、リンパ節が腫れる感染症です。倦怠感や頭痛、発熱、のどの痛みを伴うこともあります。

「パスツレラ症」は、パスツレラ菌によって起こる病気ですが、咬傷や引っかき傷などの外傷部が早ければ数時間程度で腫れて赤くなります。抵抗力が弱い人や糖尿病など基礎疾患を持つ人は重症化し、命にかかわる場合もあります。

子猫と老猫の爪切りは特に気をつけましょう

子猫は爪を出し入れする筋肉が未発達なので、爪がしまえずに出しっぱなしになっていることが多く、布などに引っかかりやすいので注意が必要です。爪がしまえるようになるまでは、こまめに少しずつ切るようにしましょう。子猫のうちから爪切りに慣れさせておくと、その後のケアが楽になります。

老猫になると、若いころよりも爪とぎの頻度が減少します。単に、面倒になって爪とぎをしなくなることもあるようです。そうなると古い爪がいつまでも残るため、爪が太くなってしまいます。爪は内側に向けて伸びていくので、肉球に刺さって傷ができ、化膿することも。そうならないようにこまめなケアが必要です。

猫の爪切りの手順とコツを知りたい!

ソファに寝転ぶ爪が出ている猫

手順を踏んで行うとうまくいくことが多いようです。いきなり猫を捕まえて無理やり爪を切ったり、爪切りで痛い思いをさせたりすると、怖がって二度と切らせてくれなくなる可能性が高くなります。焦らずおおらかな気持ちで切ることがポイントです。

猫の爪の切り方 ~ カンタン5ステップ! ~

猫の爪の切り方を具体的に5ステップでご紹介します。

1. 猫が落ち着ける体勢、状況にする

まず、猫を後ろから抱きかかえます。できるだけ猫がリラックスしていて、落ち着いているときに行うのがポイントです。お気に入りの場所でくつろいでいるときなどがいいかもしれません。バスタオルなどで体を包み、視界を制限することで、おとなしくなることもあります。飼い猫の好みなどを探りながら、やりやすい体勢や状況を整えましょう。

2.後ろ足から切る

後ろ足の爪から始めるほうが切りやすい場合が多いようです。足を触られることを極端に嫌がる猫もいるので、少しずつ切りながら様子をみましょう。

3.外側から順番に切っていく

猫の体の外側、つまり小指側から切っていきます。親指側の爪は嫌がる猫が多いので、最後にしましょう。

4.肉球を押して爪を出す
肉球を押して爪を出す

猫の足を上下から指で挟み、肉球を軽く押して、爪を出します。力強く押さえると嫌がるので注意してください。

5.尖ったところを少しずつ切る

尖ったところを少しずつ切る

尖ったところを少しずつ切る 2~3mm程度カット

猫の大きさにもよりますが、先端の尖った部分を2~3mm程度カットしましょう。深く切ると血管や神経を傷つけてしまいます。爪切りの回数を減らそうと、深爪するのは禁物です。

爪切りの目安は1か月

猫にもよりますが、爪切りはだいたい1か月の頻度で行います。老猫は、2週間に一度くらいがいいかもしれません。爪の状態をこまめにチェックするようにしましょう。

爪の血管と神経を切らないように注意しましょう

爪の奥(根元に近い部分)にあるクイックを切ってしまうと痛みが強く、出血してしまいます。爪を切るときは、爪を横から見てクイックの位置を確認し、適度な距離を保って切るようにしましょう。

血が出た時はすぐに止血を!

猫が動いた、手元が狂ったなど、誤って血管を切ってしまうこともあるかもしれません。万が一出血してしまった場合は、すぐに清潔なガーゼやコットンなどで1~2分ほど押さえて止血をしましょう。血が止まらないときは、動物病院を受診してください。

爪切りを嫌がる猫の対策は?

手足や爪の先は敏感な部分なので、触られることを嫌がる猫がほとんどです。コツは無理をしないこと。ふだんから手や足先にタッチするなどして、触られることに慣れさせておきましょう。

一度に切らないで、何度かに分けて切りましょう

すべての爪を一度に切ろうとして時間をかけると、猫がイライラして暴れだすこともあります。「今日は1~2本だけ」など何度かに分けて切るのも1つの方法です。

バスタオルで包む、気をそらすなど、猫の性格に合わせた対策を

大きなバスタオルなどで包むと落ち着く猫が多いようです。大きな布の袋や洗濯ネット、場合によってはエリザベスカラーを活用してもいいかもしれません。家族などと協力して、猫の好きなおやつを食べさせている間やおもちゃで気をそらせている間に切るという方法もあります。猫の様子や性格にあった方法を探っていきましょう。

どうしても難しい場合は、プロに相談という手も

嫌がる猫を無理やり押さえつけて爪切りを行うと、爪切りが嫌いになってしまい、ますます爪を切るのが難しくなります。暴れて手に負えない、噛まれそうだといった場合は、無理をせず、獣医師やトリマーに相談しましょう。

猫の爪切りにおすすめのグッズは?

猫の足と爪切り

猫の爪切りには次のグッズを用意しておくと便利です。

爪切りグッズを出すだけで、猫が警戒して隠れてしまうことがあります。特に爪切りは、猫が目にする場所に置いて慣れさせておきましょう。

ハサミ型とギロチン型の爪切りの使い分け方

ハサミ型は手前の刃先にある半円形のくぼみに猫の爪をあてて使用します。ふだん使っている文房具のハサミと同じ仕組みなので、猫の爪切りに慣れていない方でも扱いやすい形です。子猫の柔らかい爪をカットするのにもハサミ型は適しています。

ギロチン型は、円状の刃に爪をさし込み、グリップを握って爪を切ります。慣れないうちは怖く感じるかもしれませんが、固い爪でもスパッと切ることができるので、動物病院でよく使われています。使い方をかかりつけの獣医師に教えてもらってもいいかもしれません。

ほかにもニッパー型やピコックタイプ、電動やすりもあります。飼い主さんの使い勝手や愛猫の年齢、爪の状態などにあわせて選びましょう。

人間用の爪切りでも切れるが…

人間用の爪切りでも切ることは可能ですが、爪が割れてしまうことがあるため、猫用を使うのが安心です。

洗濯ネットやタオルは暴れる猫の確保に最適

猫が暴れる場合は、洗濯ネットやバスタオルを活用しましょう。ただし、ずっと暴れている場合や興奮している場合は、無理せず休憩し、ときには仕切り直すことも必要です。

まとめ

猫と飼い主さんのケガ予防のためにも、爪切りは大切です。1か月に一度を目安に、少しずつ切ってケアしてあげましょう。無理をしないことが爪切りのコツです。爪切りがスムーズに行えるように、日ごろからスキンシップを心がけましょう。

獣医師:佐々木伸雄 先生

監修者プロフィール

獣医師:佐々木伸雄 先生

東京大学卒業後、同大学の獣医学科、動物医療センターで動物外科の教員として勤務。主な対象動物は犬、猫であるが、牛、馬なども診療。研究に関しては、動物の腫瘍関連の研究や骨の再生医療など。2012年3月、同大を定年退職。この間、日本獣医学会理事長、農林水産省獣医事審議会会長などを歴任。

  • ※掲載している内容は、2020年12月24日時点のものです。
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