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【獣医師監修】犬のマイクロチップ装着は進んでいる?費用や登録方法、安全性を解説

マイクロチップを埋め込まれる犬

動物愛護法の改正により犬へのマイクロチップの装着が販売業者には義務化され、飼育者に対しては努力義務となりました。マイクロチップってそもそもどんなもの?装着にかかる費用や登録方法、安全性について、飼い主さんの気になることを解説します。マイクロチップのメリットや課題をよく知り、愛犬への装着を検討しましょう。

犬のマイクロチップ義務化について

マイクロチップの現状:マイクロチップは装着していますか?(n=181) マイクロチップの現状:マイクロチップは装着していますか?(n=181)

2019年6月に改正動物愛護法が成立したことによって、ペットショップなどで販売される犬・猫へのマイクロチップの装着が義務化、一般の飼い主(飼育者)に対しては努力義務となりました。

当社(SBIいきいき少額短期保険)が犬・猫と暮らす飼い主さん200名に実施した「マイクロチップに関するアンケート」では、26.5%の飼い主さんがペットにマイクロチップを装着しているという回答でした。犬・猫別では、犬35.2%、猫17.8%と犬の装着率が猫よりも高いことがわかりました。

マイクロチップの義務化はいつから?必ず装着させなければいけないの?

2022年6月より、犬・猫を販売する業者(ペットショップやブリーダーなど)を対象にマイクロチップの装着が義務付けられることになりました。

これらの販売業者は、犬・猫を取得した日(生後90日以内の子犬や子猫の場合は、生後90日を経過した日)から30日を経過する日までに、環境省で定める基準に適合したマイクロチップを装着しなければなりません。

また、マイクロチップの装着後は所有者情報の登録が必要で、すでに登録されている犬・猫を譲り受けた人は、変更届出を行うことが義務化されました。

つまり、ペットショップ等からマイクロチップを装着した犬を迎え入れた場合、一般の飼い主さんは登録内容変更の届出が義務となります。ただし、現在のところ罰則の規定はありません。

迷子犬、災害時の身元確認が容易になる

今回のマイクロチップ装着の義務化は、動物愛護と動物の適正な管理の観点から法改正に盛り込まれることになりました。

犬の場合、狂犬病を予防する目的として犬の登録と鑑札制度がありますが、迷子犬や事故に遭った犬、盗難された犬が見つかった際に首輪に鑑札がついていなくても、マイクロチップが装着されていればデータを読み込むことで所有者をスムーズに確認できます。また、災害時の身元確認にも役立ちます。

さらに、マイクロチップによって、犬の飼育放棄や遺棄を防ぐこと、保護された飼い主不明の犬の身元がわかることで殺処分を減らす目的もあります。

海外で進んでいるマイクロチップの装着

犬・猫へのマイクロチップの装着は、ヨーロッパやアメリカをはじめ世界各国において採用されていて、近年、ヨーロッパやオセアニア、アジアでは行政機関によるマイクロチップ装着の義務化が急速に進んでいます。

オーストラリアやニュージーランドなどでは、すでにマイクロチップを埋め込んでいないペットの輸入は全面禁止になっているなど、海外にペットを連れて出国する際、海外から日本にペットを連れてくる際の動物検疫でも必要となります。海外へペットを連れて行く場合は、狂犬病予防注射と併せて、最新の情報を動物検疫所や大使館で確認してください。なお、日本では2004年に犬等の動物を日本へ輸入する場合のマイクロチップ装着が義務化されています。

犬に装着するマイクロチップとは?

マイクロチップ

犬に装着するマイクロチップは、動物の個体識別を目的とした電子標識器具で、各チップに15桁の固有の番号が書き込まれたICとコンデンサ、電磁コイルが含まれた小さなカプセルのようなもので、これを犬の皮下に埋め込みます。

マイクロチップのサイズ、素材

マイクロチップは、直径約1~2mm、長さ約8〜12㎜の円筒状をしていて、表面は生体適合ガラスやポリマーで覆われています。

国際標準化機構(ISO)が定める規格やヨーロッパ伴侶動物獣医師会連合(FECAVA)が提唱している規格、メーカー独自の規格がありますが、周波数や使用できる読み込み器が異なるため、日本のマイクロチップのデータを管理する動物ID情報データシステム(AIPO)では、ISO規格に準拠したマイクロチップについてデータベース登録を行なっています。

動物病院で獣医師による装着が必要

マイクロチップの装着は、注入針のついたインジェクターやインプランターと呼ばれる使い捨ての埋め込み器を使って、必ず獣医師が獣医療行為として行わなければなりません。事前に装着するマイクロチップの読み取りが可能かを確認し、埋め込み部位の消毒をして、犬の皮下に埋め込まれます。

「埋め込み器の針が太い」「かわいそう」と感じたり、痛みや副作用を心配する飼い主さんもいると思いますが、一瞬で埋め込まれるので、通常の注射と同様に愛犬に強い苦痛を与えることはありません。

また、表面の素材に生体適合ガラスやポリマーが使用されているため、副作用はほとんど報告されていません。避妊・去勢手術の際に麻酔下で装着することも可能です。

体のどの場所につけるの?耐久年数はどれくらい?

マイクロチップの埋め込みは、犬の場合生後2週齢頃から可能と言われていますが、犬種や個体差を考えて獣医師が時期の判断を行います。

マイクロチップを装着する場所は、世界小動物獣医師会(WSAVA)が提唱する、背側頚部(背側正中線の肩甲骨間より頭部側)と呼ばれる正中線よりやや左側(首の後ろ)の皮下が一般的です。

装着後は、犬が暴れるとマイクロチップが落下してしまうこともあるので、しばらくは安静にします。注入針の穴は2〜3日でふさがりますが、4〜5日はシャンプーを避けるとよいでしょう。

また、犬の体を触った際に外側からチップの感触がわかることもありますが、無理に触ったりつまんだりすると、装着したマイクロチップが動いてしまう可能性があるので触らないようにしてください。

マイクロチップは、読み取り器(リーダー)を使って情報を転送する仕組みなので、チップに電池は必要ありません。耐久年数(寿命)は約30年と言われていて、一度装着したら、その犬の生涯にわたって半永久的に使用することができます。

マイクロチップの安全性と健康被害

マイクロチップの安全性は高く、日本だけでなく欧米を中心にこれまで何千万頭の装着実績があります。

装着後の副作用はほとんど報告されていませんが、健康被害でわかっている情報としては、英国小動物獣医師会によると、370万匹以上のペットへのマイクロチップ装着実績のうち、腫瘍が認められた報告が2例あります。

マイクロチップ装着にかかる費用

今回の法改正で、一般の飼育者についてはマイクロチップの装着に努めるという努力義務となりましたが、装着する場合、どれくらいの金額がかかるのか、気になる費用をみていきましょう。

装着費用と登録費用

マイクロチップの装着費用は、動物病院によって異なりますが、数千円程度かかり、登録費用として別途1,050円がかかります。助成金制度がある市区町村などもあるので、問い合わせてみるとよいでしょう。

マイクロチップのデータ登録方法

書類に記入する

動物病院でマイクロチップを装着したら、データベースへの登録が必要です。チップ自体には、飼い主の情報は含まれていないので、飼い主の情報と埋め込んだマイクロチップの情報を照合させるデータの登録を行います。

データの登録は最も登録数の多い「AIPO(動物ID 普及推進会議)」で行いますが、他団体でも登録可能です。ただし、データの連携は行われていません。

AIPOはマイクロチップによる動物個体識別の推進とデータの管理を行っている組織で、事務局は日本獣医師会の中にあります。

AIPOへの登録は、マイクロチップを装着した際に動物病院で獣医師が必要事項(犬の名前、生年月日、性別、獣医師名など)を記入した登録用紙に、飼育者の情報(氏名、住所、電話番号、メールアドレスなど)を記入して、登録料1,050円を郵便局で振り込んだあと、用紙に受領書を貼り、専用封筒で申込書の送付をすることで登録手続きができ、不備がなければ約2〜3週間で登録完了となります。一部地域や製品によっては登録手数料が含まれているマイクロチップもあるので、事前に動物病院で費用、登録方法について確認してください。

登録内容の変更、削除の方法

今回の法改正で、マイクロチップが装着(登録)された犬・猫を譲り受けた場合は、変更登録が義務化されました。ペットショップやブリーダーなどでマイクロチップが埋め込まれた犬や猫を購入した場合、業者での登録代行手続きを依頼することができます。

飼育者の名義や住所、連絡先、犬猫の登録情報などの各種変更手続きは、登録完了通知はがきや登録用紙のコピーに変更する内容を記入し、AIPO事務局へ郵送・FAX・E-mailにて届出を行うか、「公益財団法人日本獣医師会:マイクロチップ登録申請システム」でオンライン申請ができるので、自身で変更の手続きを行いましょう。ペットが亡くなった場合には削除の手続きとなります。

データの照会方法

データ登録後は、リーダーと呼ばれる読み取り器をマイクロチップの装着部分にかざし番号を読み取ることで、データベースに登録された情報と照合することができます。リーダーは動物愛護センターや動物病院にあり、保護された犬について、行政の担当者や獣医師などがインターネットや電話、FAXで照会し、ペットの情報や飼い主の連絡先などを確認できます。

マイクロチップの今後

マイクロチップの今後:装着意向の有無を教えてください。(n=138) マイクロチップの今後:装着意向の有無を教えてください。(n=138)

当社が行った「マイクロチップに関するアンケート」で、マイクロチップ未装着の飼い主さんに、今後の装着意思を尋ねたところ、「装着したい」と答えた方は9.8%で、「装着する予定はない」と答えた方が57.1%と半数以上を占めました。

マイクロチップで実現したらよいと思うもの第1位は「GPS」

また、アンケートで、今後マイクロチップに関して実現したらよいと思うことについて尋ねたところ、「GPSがつけられる」が54.0%と最も多く、次いで「健康管理ができる」が39.0%となりました。

ペットに関するGPS機能がついた商品は、犬用の首輪やタグなどの迷子対策商品があるものの、電池切れや紛失、耐久性などのデメリットがあります。しかし、マイクロチップに搭載されれば、そのデメリットを解消できます。

マイクロチップ装着の未来

マイクロチップはペットの確実な身分証明書なので、災害時にペットと同行避難ができなかったり、はぐれてしまったりした場合でも、保護された先でマイクロチップの照会が行われれば飼い主が判明し、再会できる手段となります。もちろん、迷子や盗難の際にも同じように役立ちます。

今後は、信頼できるサーバー上でデータが一元管理されることが期待されます。

その上で、ペットの身元だけでなく、過去の病歴や治療歴、ワクチン歴などの情報があれば、獣医師にとって診断や治療を進めるうえで大いに役立ちますし、飼い主さんにとっては、セカンドオピニオンを受ける際や日頃の健康管理にも役立つはずです。犬のマイクロチップについて正しく理解して装着の判断をしましょう。

獣医師:佐々木伸雄 先生

監修者プロフィール

獣医師:佐々木伸雄 先生

東京大学卒業後、同大学の獣医学科、動物医療センターで動物外科の教員として勤務。主な対象動物は犬、猫であるが、牛、馬なども診療。研究に関しては、動物の腫瘍関連の研究や骨の再生医療など。2012年3月、同大を定年退職。この間、日本獣医学会理事長、農林水産省獣医事審議会会長などを歴任。

  • ※掲載している内容は、2020年10月20日時点のものです。
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