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いきいき生活の知恵

第10回 【高齢期のお金を考える会】
使えるお金を“いきいき”暮らしながら増やす!高齢期の働き方3つの提案

ファイナンシャル・プランナー(以下、FP)畠中雅子さんが主宰する「高齢期のお金を考える会」会員FPの方々によるリレーコラム第2回。

今回は、企業や労働組合の福利厚生支援やセミナー・個別相談などを中心に活躍されている井上信一さんに「高齢期の働き方」について教えていただきます。

ファイナンシャル・プランナー(CFP®) 井上 信一 さん

教えていただいた方

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)

井上 信一 さん

“老後にいくらあれば安心?”が不透明なのは当たり前

老後のお金事情に不安を抱いている方は多いのではないでしょうか?それもそのはず。老後生活には、次のような不透明要素があるからです。

疑問に思う老夫婦
  • そもそも老後が何年続くのかわからない
  • 物価変動で将来の実質的なお金の価値が変わるかもしれない
  • 介護費用など予定外の高額出費が生じるかもしれない
  • 手元の金融資産をどう取り崩していけばいいのか悩ましい

現役の頃のように支出より収入が多く貯蓄を増やしていけるのならまだしも、年金収入がほぼ固定的であるのに対し、出ていくお金が変動的で不透明なのですから、いくらお金があっても安心できないのは致し方ないことです。

老後の不透明な支出と相性の良い収入源をつくる

お財布とお金

しかしながら、その不透明な要因に注目することで、完全ではないにしろ相性の良い手を打つことはできます。たとえば、どれだけ長生きしても、生きている限りいつまでも入ってくるお金を増やす工夫をすることです。


老後の収入の柱である公的年金は終身で受け取れる点が最大の特徴ですが、保険商品には同じように終身で受け取ることができるタイプがあります。

昨今の金利情勢では、以前よりも魅力に欠けるかもしれませんが、個人年金保険の終身年金がそのひとつ。受け取れる年金の総額は増え続けていくので、長生きするほどお得感は増していきます。また、最近では死亡保障を少なくし、長生きへの備えに特化した商品も登場しています。


介護費用が不安なら、介護一時金や終身介護年金を受け取れる民間介護保険を活用することも考えられます。将来、介護が必要になったときにお金が出ていく一方ではなく、お金が入ってくる備えをしておくという発想です。

高齢の方でも加入できる商品もあるので、払込期間は可能な限り短くし、今ある手元金融資産の一部をこうした保険に移せば、将来の定時定額受け取りの収入源を確保でき、かつ、金融資産の取り崩し方の問題も解消できます。

体が動く限り、働いて得る収入で生活を充実させる

力こぶを作る男性

出ていくお金を何でまかなうのかといった視点も大切です。

筆者は、最低限の日常生活費は公的年金等の範囲に抑え、万が一の高額出費等は上述したように手元金融資産の置き場を変えることで対応し、そして、アクティブに暮らすための自己投資的な余暇費等は現役時代と同じように働いてカバーするといった、お金の使い方の3源泉を提案しています。

もちろん、元気な限り現役時代のようにできるだけ働き続けるのも、老後の安心を考えると一つの選択肢です。しかし、レジャーや外食、旅行等、余暇のための費用であれば、月5~10万円ほどゆとりがあれば十分でしょう。これくらいなら、フルタイムでガムシャラに働く必要はありません。筆者は、“もう一度働き直す”ことをおすすめしています。人生をやり直せるような、生活を充実させられる働き方を3つご紹介しましょう。

1.アルバイトやパートでかつて夢見た希望を叶える

皆さんは子どもの頃や若いときになりたかった仕事に就けていましたか?それとは異なる仕事をしてきた、あるいは現在もしているという方がほとんどでしょう。

ならば、“かつて夢見た、なりたかった職業”をこれから実現させてみませんか?何も、投資をしたりリスクのある個人経営をしたりする必要はありません。手軽にアルバイトやパートをすれば良いのです。人生のやり直し、いえ、より濃厚な焼き直しをしつつ、楽しみながらお金をもらえるのですから一石二鳥です。こうした非正規雇用を利用し、異なる好きな仕事を転々とする働き方も一つの常識になっていくことでしょう。

2.インターネット上で個人事業主としてプチ開業する

インターネットで「フリーランス 登録」と検索すると、スキル提供者と利用者とをマッチングするサイトが数多く見つかります。登録できる分野はIT・デザイン・イラスト・ライターのようにキャリアや特技を活かせるもの以外に、〇〇代行や〇〇相談といったものまで多岐に渡ります。

パソコンを使う女性

この〇〇には営業や経理といったビジネス向けはもちろん、心の悩み・子育て・家事など生活に関わるものまであり、特別なスキルや士業等の資格を必要としないものもあります。サービス提供もリモートやメールで完結できるものもあります。

自分の提供できる(提供したい)サービスを、難しい広告や営業、決済に手間をかけずに、登録するだけで手軽に始めることができます。比較的、若い世代の利用者が多いサービスですが、だからこそ人生経験豊富なシニアに相談したいというニーズは少なくないと思われます。

3.有償ボランティアで将来のセーフティーネットづくり

お住まいの地域には、実に多種多様な有償ボランティアがあります。

独居の高齢者宅を訪問して郵便物の整理や会話をする、介護疲れの家族の話を聞く、子どもの居場所をつくる等々、最寄りの社会福祉協議会ではこうした情報を提供してくれます。

時給は各都道府県の最低水準にとどまりますが、地域の福祉貢献活動によって構築されたセーフティーネットなので、回り巡って、いずれ自身の心強いセーフティーネットになり得るでしょう。


ポジティブな老夫婦

リカレント教育(学び直し)という言葉を耳にする機会が増えたように、これまでの「学ぶ→働く→老後・余生」という画一的な人生がスタンダードではなく、多様でニューノーマルな生活を選べる世の中が訪れようとしています。

アルバイトやパートは正規雇用に就けない場合の家計をしのぐ術、個人事業は士業資格が必須、ボランティアは無償奉仕であるといった常識を捨てれば、何歳からでも今後の人生をより充実させられるのではないでしょうか。

ファイナンシャル・プランナー 井上 信一 さん

教えていただいた方

井上 信一 さん

【プロフィール】

10年強にわたるFP事業会社等での経験を経て2010年に独立。
以来、「誰でもライフプランに基づくキャッシュフローを自分で作れる世の中へ。FPの仕事はその先」をモットーに、企業や労働組合の福利厚生支援や従業員向けセミナー、個別相談・情報発信、金融機関等の職員や顧客向けの講義やセミナー等に従事。
主な著書に『保険設計ベスト事例集』(きんざい)等。
また、地域の権利擁護事業を通した福祉活動も活発に行い、成年後見人も受任中。
「高齢期のお金を考える会」メンバー。

  • ※掲載している内容は、2021年8月31日時点のものです。
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