お葬式・お墓の'いろは'
第1回 心配を安心に変える葬儀準備の第1歩
コラム執筆者
株式会社ニチリョク 相続診断士
木村 宏之 さん
「冠婚葬祭は、人生の一大イベントですが、冠婚と葬祭の違いはなんでしょう?」と質問されたら皆さんは、何と答えますか。 私がこの仕事に携わって感じることは、準備期間が違うということです。結婚式では式場を見学に行き、何回も打ち合せをして入念に準備をすることが出来ますが、葬儀は突然のことなので、準備期間がとても短いのです。しかし、葬儀も入念な準備を取れないわけではありません。ただ、前もって準備することは良くないという感情が邪魔をしているのです。
一方で、「終活」が2012年に新語・流行語大賞にノミネートされてから、「ご葬儀」への関心の高さが広がっています。ご葬儀のセミナーや勉強会を開催すると、以前より多くの方がご参加されています。「自分の葬儀は自分で決めたい」「残された者に迷惑をかけたくない」と、そんな思いで参加される方々が多いようです。このコラムではQ&A方式で掲載していきますので、「ご葬儀」への不安が少しでも解消できたら幸いです。
Q1.生前のうちに葬儀にいくらかかるのか、知っておきたい気持ちがあるのですが、実際はどのような段取りをすればいいのでしょうか?
A1.ご自身の葬儀、又はご夫婦であれば伴侶の場合と、生前に葬儀代金がいったいいくらかかるのか、非常に昨今は関心が高くなってきています。その解決策は、いくつかの葬儀社にお電話をいただき、「葬儀の事前相談」の予約をしてみることです。葬儀社の電話応対で良い葬儀社か否かの判断もできます。
通常は、お客様のご希望をお聞きし、担当者が所定の場所へ出向いての相談が多いようです。一つの葬儀社で終わらせず、必ず比べることが肝要です。事前に準備をすることは、特別なことではありません。斎場などのご希望があれば、その時に相談されると良いでしょう。
Q2.事前に葬儀社を決めた後の注意点は?
A2.生前にご相談された「見積書」は、大切に保管しておくと良いでしょう。その際にご家族にその旨を告げ、共有の認識を持っていただくことが必要です。その葬儀社の24時間受付可能な電話番号も、このときにご家族で確認しておかれると良いでしょう。
“葬儀を自分で決める”と言うことは、はっきりと望む形を家族に伝えておかなければなりません。「自分の思い」「会葬に来て欲しい方」「式次第」「規模」「費用」など…。とは言え費用がともなう事ですから、信頼できる葬儀社に生前の見積もりを取っておくと安心感が生まれます。生前見積もりによって故人の想いは家族にも通じる事となり、万が一の時にも充分な打ち合せが可能になります。また、費用準備についても、保険で準備するのか、または預金なのかなどは、この時に決めておかれると良いと思います。
息子さん、娘さんに「親父、葬儀の話なんてするなよ」と言われてしまうと実に弱り果てますが、この準備期間を取り、事前準備をすることが後々に「親父も自分の思うような葬儀が出来て満足だっただろう」「いいお葬式だったね」という満足に繋がるのではないでしょうか。
- ※掲載している内容は、2016年3月1日時点のものです。
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㈱ニチリョク勤務の相続診断士で葬儀のプロ。近年は、葬儀費用信託(心託)など、終活全般の窓口責任者として活躍。
※㈱ニチリョクは創業1966年。墓石業界初の上場企業(ジャスダック)。