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いざというときのお金のこと

【FP監修】死亡保険金の相続税はいくらかかるの?非課税枠や確定申告など解説

考える女性

ある日突然、自分の身に万が一があった際、遺していく家族に負担をかけないよう保険で備えている人は多いことでしょう。これから加入を考えているという人もいるかもしれません。一方で、死亡保険金に課せられる税金について、よく知っているという人は少ないのではないでしょうか。

この記事では、相続税や贈与税など、税制上の死亡保険金の取り扱いについて、詳しく解説していきます。

死亡保険金は、受取人によってかかる税金が変わる

TAX

始めに、保険にかかわる立場を簡単に整理します。

契約者 保険料を支払っている人
被保険者 保障の対象となっている人
受取人 保険金を受け取る人

ここでは3つの立場を組み合わせ、パターン別に課せられる税目について解説します。

保険契約者と被保険者が同一の場合【相続税】

「自分の葬儀代くらいは自分で用意しておきたい」
 「葬儀代以外でも、家族が困らないようある程度は遺したい」

まずは、こうした思いから死亡保険へ加入する場合を考えてみます。

契約者 被保険者 受取人
父親 父親

この場合、非課税枠を超えた保険金は相続財産としてほかの財産と合算され、相続税の基礎控除を超えると「相続税」の対象となります。しかし、受取人が法定相続人以外だと「遺贈」という扱いになり、基礎控除を超えて相続税がかかる場合は税額が2割増しになります。

相続税とは?

相続税とは、故人から相続人が取得した財産の合計額が、基礎控除額を超える場合に課せられる税金です。「亡くなった人の資産総額が一定額を超えていた場合に課される税金」と考えると、わかりやすいかもしれません。

保険契約者と保険金受取人が同一の場合【所得税】

「生命保険料控除を利用するため、親の保険料を払っている」
 「相続税の支払いにあてるための親の生命保険料を負担している」

こうしたケースで受け取る死亡保険金には「所得税」が課せられます。

契約者 被保険者 受取人
父親

子が親の保険料を支払う場合、保険の対象は父親ですが、子が契約者となることで、生命保険料の控除を受けられるケースもあります。

この場合、保険金は「一時所得」とされ、受取額が年間に50万円を超えた場合には、その2分の1の金額が所得とみなされます。

所得税とは?

所得税とは、個人の所得に対して課せられる税金です。1年間のすべての総所得額から各種控除額を差し引いた残りに税率を適用して計算されます。

所得税には累進課税制度が導入されているため、「収入が多いほど税金も高くなる」仕組みになっています。ちなみに、住民税は収入額に関わらず、一律10%になっています。

保険契約者、被保険者、受取人が異なる場合【贈与税】

「妻に万が一のことがあった際に備えて、妻を被保険者にして自分が契約し、子どもが保険金を受け取るようにしたい」

こうしたケースは贈与税の対象となります。

契約者 被保険者 受取人
父親 母親

この場合、死亡保険金に課せられるのは「贈与税」です。契約者から受取人へ「贈与された」とみなされるためです。

贈与税とは?

贈与税とは、故人から財産を受け取ったときにかかる税金です。贈与税には「暦年贈与」といって、1年間に受け取った財産の合計額から110万円の基礎控除を差し引ける仕組みがあります。基礎控除を超えた分に対して贈与税が課税されます(暦年贈与は、改正される可能性あり)。

ほかには、「相続時精算課税制度」という制度もあります。これは、2,500万円までは贈与税を納めずに、贈与を受けられる仕組みのことです。ちなみに2,500万円を超える贈与には、20%の贈与税が課せられます。また、実際に相続が発生したときに、贈与財産の価額が相続財産に加算されます。つまり、贈与を受けた時点では贈与税の支払いが実行されない代わりに、相続した時点で相続財産が増えることになります。

死亡保険金受取の非課税枠は法定相続人の人数によって決まる

3世代

死亡保険金には非課税枠が設けられています。「法定相続人1人につき500万円」までであれば、相続財産に加算されずに済み、この制度を活用すれば税金対策が可能です。

「父親が亡くなり、母親と3人の子たち、計4人が法定相続人の場合」を例に考えてみましょう。

法定相続人の数は4人のため、「500万円×4人」で死亡保険金は「2,000万円」までは非課税です。そのため、保険金が1,500万円であれば課税されません。しかし、保険金が5,000万円であった場合は、非課税枠を超えた3,000万円が相続財産に加算されます。

非課税枠を適用できないお金とは?

非課税枠を適用できないお金もあります。代表的なものは「生存保険金」「入院給付金」などです。

生存保険金は「契約で決められている支払日や契約満期まで被保険者が生きていた場合に支払われる保険金」です。

入院給付金は「病気やケガで入院した際に支払われるお金」です。契約者、被保険者、受取人が故人であれば、相続財産として扱われます。一方で、入院給付金の受取人が配偶者や子であった場合は、相続税の対象とはなりません。

家族がこれらのお金を受け取る権利がある場合は、あらかじめ受取額を確認しておくと安心でしょう。

法定相続人ではない受取人は、非課税枠を利用できない

では、法定相続人でない人が受取人になっている場合はどうでしょうか。こちらも、非課税枠を利用できません。非課税枠は、あくまで法定相続人の数によって設定されます。死亡保険金を受け取った人の数ではありません。

たとえば、「お世話になっている、息子の奥さんを受取人に入れたい」という場合を考えてみましょう。

配偶者、息子2人、息子の妻の計4人で保険金を受け取っても、非課税枠は「500万円×3人」で1,500万円です。息子の妻は、法定相続人としてカウントされないため、非課税枠は3人分しか認められません。

繰り返しになりますが、法定相続人以外が保険金を受け取って相続税を支払う場合、相続税の2割加算の対象となります。遺すほうも、受け取るほうもあらかじめ知っておきたいですね。

死亡保険金以外で相続税はどんな財産にかかる?

家の模型と書類

相続税の有無は死亡保険金だけでなく、家屋、預貯金などが合算された額で決まります。課税対象となる項目にはどのようなものがあるでしょうか。

ここでは、相続税がかかる財産について詳しく解説します。

相続税の課税対象となる財産一覧表

課税対象となる財産の例 課税されない財産の例
預貯金 借金
株などの有価証券 住宅ローン
家や土地 未払いの税金
山や農地 買掛金
ゴルフ会員権 墓地や墓石

預貯金や有価証券、家屋などは、課税対象である「プラスの財産」です。ゴルフの会員権も同様です。預貯金は、親が子名義の口座を作成し、通帳を保有したまま貯金していた場合は、親が所有している口座とみなされ、相続財産に加算される場合があります。

一方で、借金や未払いの税金など「マイナスの財産」は相続財産から差し引いてもらえます。また、墓地や墓石など一般的に親から子へ受け継いでいくと考えられているものも、相続財産に加算する必要はありません。

基礎控除と債務控除

相続には控除が存在します。「基礎控除」と「債務控除」です。まず基礎控除から確認していきましょう。

「基礎控除」とは、遺産を相続する際に、一定の金額までは課税の対象外となる制度です。基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」の式で計算されます。

夫に不幸があり、遺された家族が「妻と3人の子」が法定相続人というケースでは、

「3,000万円+(600万円×4人)」

という式で金額を求め、法定相続人が4人の場合の基礎控除額は「5,400万円」となります。

マイナスの財産は遺産の総額から差し引くことができ、これを「債務控除」と呼びます。借金や住宅ローン、葬式費用も遺産総額から引いて計算できます。

死亡保険金を受け取る際に必要な手続き

書類に記入する

実際に死亡保険金を受け取る際は、どのような手続きが必要なのでしょうか。非課税枠を超えた場合・越えなかった場合に分けて、手続きや対策などを解説していきます。

非課税枠で受け取る際の手続き

死亡保険金を受け取る事由が起きたら、まずは保険の契約者もしくは受取人が保険会社へ連絡しましょう。

保険会社から必要書類が案内されるので、指定の書類を用意し返送しましょう。請求に必要な書類は一般的に以下の通りです。

請求手続き後、保険会社にて確認がなされます。支払いが認められた後に、保険金が振り込まれます。

相続税の申告書は、故人が亡くなってから10か月以内に税務署へ提出する必要があり、期限までに申告せず、納税が必要なのに支払いをしていないと無申告加算税や延滞税が発生します。なお、相続財産が各種の特例を使わなくても基礎控除額以下であれば、申告書の提出義務はありません。

非課税枠を超えてしまった場合の対処方法

通常、税金を納める際は役所から「納付書」が送付されてきます。しかし、相続税においては、役所から納付書が送られてくることはありません。自分で納税額を計算する必要があります。納税は銀行でも可能です。

万が一の際に、「通帳がどこにあるのかわからない」「保険証券が見つからない」といったことで家族に手間をかけないよう、元気なうちに整理整頓しておきましょう。「万が一のときは、ここにまとめてあるよ」と家族に伝えておくと安心です。「相続する財産なんてないと思っていたら、納付期限ギリギリに故人の通帳と保険証券が出てきた」という事態になれば、家族に迷惑をかけてしまうからです。

相続税の申告を忘れてしまったら?

相続財産が基礎控除を超えているにもかかわらず、相続税の申告を行わなかった場合、ペナルティを課せられる可能性があります。具体的には「無申告加算税」また「重加算税」のいずれかと、延滞税の支払いが必要です。

10か月以内の申告が難しい場合は、税務署へ相談しましょう。「概算で期限内申告をする」「税額が確定してから期限後申告をする」などの対処法があるため、指示に従います。

死亡保険金にかかる相続税の計算シミュレーション

最後に、「死亡保険金以外の相続財産が4,000万円」「父・母・子の3人家族」の条件で、父親が亡くなった場合のシミュレーションを紹介します。自分の家族のことを想像しながら確認してみましょう。

死亡保険金が1,000万円の場合

まず、基礎控除額は3,000万円+(600万円×2)=4,200万円となります。相続財産は4,000万円で基礎控除内、死亡保険金も1,000万円で非課税枠内(500万円×2)に収まっています。この場合は、相続税が課されないため、税務署へ申告する必要はありません。

死亡保険金が1,500万円の場合

同様の条件で、受け取った保険金が1,500万円の場合はどうなるでしょうか。

この場合は、非課税枠を超える死亡保険金500万円(1,500万円-1,000万円)は相続財産に加算されます。死亡保険金以外の相続財産に合わせると、4,500万円となり、基礎控除額4,200万円を300万円超えています。この300万円が相続税の課税対象となります。

自分の死亡保険金にかかる相続税の金額や必要な知識は把握しておこう

相続税と聞くと、「難しそう」と身構えてしまう人が多いかもしれません。

しかし、相続税には基礎控除や生命保険の非課税枠のほか、配偶者控除などさまざまな軽減措置が設けられています。遺された財産すべてに相続税が課せられるわけではないことを理解しておきましょう。

万が一の際、家族に負担をかけないよう、ふだんから預貯金や保険証券は整理し、場所を家族に伝えておくと安心です。

ファイナンシャルプランナー 畠中 雅子 さん

監修者プロフィール

ファイナンシャル・プランナー

畠中 雅子 さん

大学時代にフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャル・プランナーになる。
新聞・雑誌・ウェブなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などを行う。
教育資金アドバイスを行う「子どもにかけるお金を考える会」、高齢者施設への住み替え資金アドバイスを行う「高齢期のお金を考える会」、主にひきこもりのお子さんの生活設計を考える「働けない子どものお金を考える会」を主宰している。
著書は、『貯蓄1000万円以下でも老後は暮らせる!』(すばる舎)、『息子、娘が中高年ひきこもりでもどうにかなるって本当ですか?』(時事通信社)ほか、70冊を超える。
プライベートでは、社会人の娘と息子、大学生の息子の3人の子どもの母。

  • ※掲載している内容は、2022年9月27日時点のものです。
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