0120-74-8164 午前9時~午後7時(日・祝・休業日を除く)

お役立ち情報

いざというときのお金のこと

老後資金はいくら必要?金額の目安や平均収支、備え方を解説

考える夫婦

「人生100年時代」ともいわれる昨今、老後資金はどの程度あれば安心して暮らせるのか、気になっている方は多いのではないでしょうか。一方で、老後資金について今から備える必要はないと考えている方もいるかもしれません。

今回は、老後資金の備えがどの程度必要なのか、わかりやすく解説します。老後資金のシミュレーションや備え方についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

老後資金は月平均で約3万8000円不足する

老後資金とは、一般的に定年退職後に暮らしていくうえで必要な資金の総額のことです。ここでは、65歳以上の無職世帯の家計収支について見ていきましょう。

総務省が発表した「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯の1か月あたり平均収支は下記のようになります。

■65歳以上の無職世帯の平均収支

項目 実収入(社会保障給付+その他) 支出(消費支出+非消費支出)
夫婦のみの無職世帯 24万4,580円 28万2,497円
単身無職世帯 12万6,905円 15万7,673円

月の不足分は65歳以上の夫婦のみ無職世帯で3万7917円、65歳以上の単身無職世帯で3万768円です。

また、2019年に金融庁が発表した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」によれば、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯)の場合、毎月の不足額は5万4520円と試算されています。この試算にもとづいた場合、65歳で定年退職してから20年間で約1,300万円、30年間で約2,000万円を取り崩す必要があります。「老後2,000万円問題」として、各メディアで報じられ話題になったこともあり、老後資金について、あらためて考えるきっかけになったという方も多いのではないでしょうか。

なお、試算された金額はあくまでも基本的な生活費のみです。老人ホームなどにかかる介護費用や、住宅のリフォーム費用など、特別な支出は含まれていません。そのため、実際にはこれ以上の老後資金が必要になることも想定されるでしょう。

老後資金のシミュレーション

生活費以外にも大きな収支を踏まえて老後資金をシミュレーションした場合、どのような試算になるのでしょうか。

老後資金を考える際に重要な視点のひとつは、平均寿命です。厚生労働省の調べによると、2023年における男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.14歳です。また、90歳以上の生存状況は男性26%、女性50.1%となっています。

日本人の平均寿命は着実に伸び続けていることから、今後さらに長生きする人が増えていく可能性は十分に考えられます。90歳以上まで長生きすることを想定して、老後資金について検討しておくと安心でしょう。

また、老後の収入についても考えなければなりません。老後の主な収入は、公的年金をはじめとする社会保障給付の割合が高くなる傾向があります。夫婦のみ無職世帯は89.3%、単身無職世帯は93.2%の割合で、社会保障給付が主な収入源です。

ここでは、無職世帯の平均収支を参考に、夫婦のみ無職世帯が65歳から90歳まで、社会保障給付を収入源として生活した場合の老後資金のシミュレーションをご紹介します。

■老後資金のシミュレーション例

内訳 金額
収入 社会保障給付:22万円×12か月×25年=6,600万円 7,600万円
その他の収入:退職金1,000万円
支出 生活費:26万円×12か月×25年=7,800万円 8,700万円
その他の支出:住居リフォーム500万円+葬儀300万円+旅行100万円=900万円
合計 -1,100万円

仮に、退職金1,000万円のようなまとまった収入があったとしても、老後資金は1,100万円程度不足することがわかります。あらかじめ想定していた大きな支出以外にも、場合によっては介護費などの支出が増えるかもしれません。

老後に安心して生活するためにも、老後資金の備えは必要であると考えられます。

老後資金の備え方

年金手帳と電卓

老後資金の備え方には、どのような方法があるのでしょうか。具体的な方法をご紹介します。

保険を活用する

老後資金を計画的に備えるための方法として、保険の活用が挙げられます。保険には大きく分けて「掛け捨て型」と「貯蓄型」の2種類がありますが、老後資金の備えに役立つのは貯蓄型の保険です。貯蓄型の保険の主な種類は下記のとおりです。

個人年金保険

個人年金保険とは、国民年金や厚生年金などの社会保障給付を補う目的で加入する、私的年金のことです。契約時に設定した年齢まで保険料を支払い、保険料に応じた年金を受け取ります。「一括で受け取る」「一定期間受け取る」「一生涯受け取る」など、商品によって年金の受け取り方は異なります。

終身保険

終身保険とは、加入してから一生涯にわたり、死亡保障が継続する保険のことです。満期はなく、被保険者が亡くなったときに保険金が支払われますが、加入から一定期間を過ぎて解約すると解約返戻金が受け取れます。

解約する時期によっては、支払った保険料よりも解約返戻金が上回ることがあるため、老後資金としても活用できます。ただし、払込保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなることもあるため、解約する時期に注意しなければなりません。

養老保険

養老保険とは、死亡保障と貯蓄の両方が備わった保険のことです。終身保険と大きく異なるのは、満期が設けられている点です。保険期間に被保険者が亡くなった場合は死亡保険金が支払われ、満期を迎えた場合は死亡保険金と同じ額の満期保険金が支払われます。そのため、老後資金への備えとして選ばれるケースも少なくありません。

資産運用をする

老後資金を備える方法のひとつに、資産運用があります。資産運用は「預貯金」と「投資」の2種類に大別できますが、日本は長年にわたり低金利が続いていることから、預貯金ではほとんど利子がつかないのが実情です。そのため、効果的に資産運用をするなら投資も視野に入れて検討する必要があるでしょう。

ただし、投資は必ず利益が出ることが保証されているわけではありません。株式投資や投資信託などを活用する場合、元本が保証されず手元に残るお金が投資した金額を下回ることもありえます。元本割れのリスクも踏まえたうえで、投資額を決めることが大切です。

比較的始めやすい資産運用の制度や運用方法をご紹介します。

NISA(少額投資非課税制度)

NISAとは、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益が非課税となる、税制優遇制度のことです。NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があります。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円まで投資でき、両方の枠を併用することも可能です。

通常、投資で得た利益には20.315%課税されることから、運用益や配当金などがすべて非課税になる点はNISAの大きなメリットといえます。一方、損失が出た場合は注意が必要です。NISAでは、同じ年の利益と損失を相殺する「損益通算」や、損益通算後に損失があった場合に翌年以降に損失を繰り越して利益から差し引ける「繰越控除」ができません。メリットとデメリットを把握したうえで、長期・積立・分散を意識して老後資金を準備したい方に適しているでしょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoとは、老後の資金づくりを目的とした私的年金制度のことです。20歳から65歳までの公的年金被保険者であれば任意で加入でき、原則60歳以降に年金または一時金を受け取れる仕組みです。

iDeCoに加入することにより、毎月の掛金が全額所得控除されます。運用益に関しても全額非課税となることから、節税効果を得ながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。一方、途中解約ができず、60歳まで資産を引き出すことができない点はデメリットといえるでしょう。掛金は月5,000円から設定できるため、老後に向けて少額から資産運用を始めたい方に適しています。

投資信託

投資信託とは、投資家から集めた資金をプロのファンドマネージャーが運用し、運用益を投資家に配分する仕組みの金融商品のことです。プロに資産運用を任せられるため、投資などの知識がない人でも始めやすい資産運用のひとつです。また、商品によっては少額ずつ積立投資ができることから、現状まとまった資金を用意するのが難しい方にも適しているでしょう。

ただし、金融機関によって手数料に差がある点に注意しなければなりません。複数の商品を比較したうえで、できるだけ手数料が低い商品を選ぶことをおすすめします。NISAやiDeCoの運用商品として投資信託を購入することも可能です。

家計を見直す

老後資金の備えとしては、家計を見直し、無駄な出費を減らすことも大切です。支出を無理なく減らせれば、その分を貯蓄や投資に回せるでしょう。

家計における支出には、大きく分けて「固定費」と「変動費」があります。

固定費とは、毎月または毎年、ほぼ定額で支払う費用のことです。たとえば、家賃や光熱費、通信費、保険料などが主な固定費として挙げられます。電気・ガス、スマートフォンの料金プランのほか、加入している保険などを見直すことで、無理のない範囲で固定費を削減できる可能性があります。

一方、変動費とは、毎月支払う額が変動する費用のことです。食費、日用品の費用、交際費、交通費、医療費などが該当します。変動費に関しても工夫次第で減らせるケースは少なくありません。たとえば、外食の頻度を減らしたり、マイボトルを持ち歩いて出先の飲み物代を減らしたりといったことが挙げられます。一つひとつはわずかでも、積み重なれば大きな金額になります。無駄な出費を抑える暮らしをすれば、老後の生活においても支出を適切な状態に維持しやすくなるかもしれません。

老後資金は保険の加入などで蓄えよう

通帳を見る女性

日本人の平均寿命は年々伸びており、老後資金の確保が従来にも増して重要な課題となりつつあります。安心して老後の生活を送るためにも、老後資金の備えについて考えておきましょう。

個人年金など貯蓄型保険への加入をはじめ、NISA・iDeCoといった非課税制度の活用、さらには家計の見直しなどさまざまな方法で対策を講じることによって、老後資金を備えられます。

今回、ご紹介した老後資金の必要性や備え方を参考に、ぜひ計画的に老後資金の準備を進めてください。

ファイナンシャル・プランナー 辻田 陽子 さん

監修者プロフィール

ファイナンシャル・プランナー

辻田 陽子 さん

FPサテライト所属ファイナンシャル・プランナー、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種、日商簿記2級。
税理士事務所、金融機関での経験を経て、FP資格を取得。それぞれのライフイベントでのお金の不安や悩みを減らし、人々がより豊かで自由な人生を送る手助けをすべく活動中。

  • ※本ページ上の保険の説明は、一般的と考えられる内容を掲載しています。個別の保険商品については、各保険会社の公式サイトをご確認ください。
  • ※掲載している内容は、2024年10月22日時点のものです。
  • ※ページ内のコンテンツの転載を禁止します。

保険の資料請求 ・ ご相談

0120-74-8164 午前9時~午後7時(日・祝・休業日を除く)