高齢者に医療保険はいらない?自己負担の仕組みと後悔しない選び方

入院している高齢者と診察する医師
目次

    「高齢者に医療保険はいらない」といわれることもありますが、年齢とともに入院や通院の機会は増えやすく、医療費への不安を感じる方も少なくありません。老後の生活資金にも影響することを考えると、民間医療保険に加入するかどうか悩む方もいるでしょう。

    この記事では、「高齢者に医療保険はいらない」といわれる理由や、民間医療保険の加入状況のほか、必要性の低い人、高い人それぞれの特徴を紹介します。高齢者が民間医療保険に加入する際の注意点にもふれていますので、ぜひ参考にしてください。

    「高齢者に医療保険はいらない」といわれる理由

    「高齢者に医療保険はいらない」といわれる理由には、公的医療保険制度によって自己負担が抑えられることなどがあります。詳しく見ていきましょう。

    高齢者医療制度で自己負担が軽減されるため

    「高齢者に医療保険はいらない」といわれる理由の1つは、「高齢者医療制度」によって医療費の自己負担が軽減されることが挙げられます。

    高齢者医療制度は、65歳から74歳までを対象とする「前期高齢者医療制度」と、75歳以上の方や65歳以上で一定の障害がある方を対象とする「後期高齢者医療制度」に分かれ、現役世代に比べて負担割合が低く設定されています。

    窓口での自己負担割合は、年齢や所得に応じて変わります。主な区分は次のとおりです。

    ■高齢者医療制度の自己負担割合

    年齢区分自己負担割合
    69歳まで3割
    70~74歳2割(現役並み所得者は3割)
    75歳以上1割(一定以上所得者は2割、現役並み所得者は3割)

    出典:政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」新規ウィンドウを開きます

    現役世代が原則として3割負担であるのに対し、70歳以上の高齢者は1~2割に軽減されます。所得が現役並みでない限り、窓口での支払額が抑えられる仕組みのため、「民間医療保険にまで加入する必要はない」と考える方もいるでしょう。

    高額療養費制度で月額負担に上限があるため

    「高額療養費制度」により月額の医療費負担に上限があるため、高齢者に民間医療保険は不要といわれることもあります。

    1か月あたりの自己負担額に上限を設ける高額療養費制度は、全世代が対象ですが、70歳以上の高齢者は多くの場合、現役世代と比べて自己負担上限が低くなります。そのため、「公的医療保険だけで十分まかなえるのでは」と考える方もいるでしょう。

    ただし、以下の費用は高額療養費制度の対象外となる点に注意が必要です。

    <高額療養費制度の対象外となる費用の例>

    • 入院時の食事代
    • 差額ベッド代
    • 入院時の衣類などの日用品、見舞いに来る家族の交通費
    • 先進医療の技術料、公的医療保険の対象外の治療費

    高齢者の医療保険の加入状況

    公的な仕組みが整っているからといって、高齢者が民間医療保険に加入していないわけではありません。では、実際にはどの程度の方が加入しているのでしょうか。

    公益財団法人生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯主の年齢区分別、医療保険・医療特約の加入率は以下のとおりです。

    ■医療保険・医療特約の加入率(世帯主年齢別)(民保加入世帯ベース)

    世帯主の年齢区分医療保険・
    特約の加入率
    65~69歳96.6%
    70~74歳93%
    75~79歳93.1%
    80~84歳86.3%
    85~89歳82.8%
    90歳以上80%
    ※85~89歳、90歳以上はサンプルが30未満

    出典:公益財団法人生命保険文化センター「2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査」[PDF:7.39MB]新規ウィンドウを開きます

    調査結果を見ると、79歳までは9割を超える加入率となっており、80歳を超えても8割以上の世帯が医療保険・医療特約を継続している状況がうかがえます。「高齢者に医療保険はいらない」といわれる一方で、多くの方が万が一の入院や手術に備えて、民間医療保険に加入しているようです。

    高齢者で医療保険が不要と考えられる人

    民間医療保険は、すべての方にとって必要というわけではありません。家計状況や考え方によっては、加入を見送ったり保障を見直したりする選択肢もあります。ここでは、高齢者で民間医療保険の必要性が低いと考えられる人の特徴を紹介します。

    十分な貯蓄があり、自己資金で医療費を賄える人

    十分な貯蓄があり、急な医療費の支出があっても生活設計が揺るがない方は、民間医療保険の必要性は低いといえます。

    たとえば、公的医療保険が適用される標準的な治療で十分と考え、全額自己負担となる差額ベッド代や先進医療の技術料についても、「その都度、貯蓄から支払う」と割り切れる場合です。高額療養費制度によって毎月の自己負担額には上限が設けられているため、その上限額を無理なく自費でカバーできるのであれば、必ずしも民間医療保険に頼る必要はないでしょう。

    保険料が家計を圧迫する人

    毎月の保険料負担が重く、家計を圧迫する場合も、民間医療保険の必要性は高くありません。高齢になってから、民間医療保険に新規加入する場合、保険料は割高になりやすく、年金や貯蓄の取り崩しで生活している世帯にとって、固定費の増大は大きなリスクとなります。保険料を支払うために予備費や日々の生活費を削らざるを得ない状況であれば、保険で備えるよりも、手元に現金を残して医療費にあてるほうが現実的な選択肢といえます。

    すでに民間医療保険に加入中の方も、負担が重いと感じるなら、保障内容の見直しを検討するタイミングでしょう。ただし、一度解約すると同条件での再加入は難しいケースが多いため、公的医療保険制度と手元の貯蓄でどこまでカバーできるかを慎重に見極める必要があります。

    高齢者で医療保険が必要と考えられる人

    一方で、民間医療保険の必要性が高いと考えられるケースもあります。医療費の自己負担や将来の家計への影響に不安がある場合は、備えとして検討する価値があるでしょう。

    先進医療や差額ベッド代に備えたい人

    「もしものときは最善の治療を受けたい」「プライバシーの守られた環境で療養したい」と考える方は、民間医療保険で備えることも選択肢の1つです。

    先進医療の技術料や、個室を希望した場合に発生する差額ベッド代は、高額療養費制度の対象になりません。特に先進医療は治療内容によって数百万円単位の費用がかかるケースもあり、差額ベッド代も入院が長引けば大きな負担となります。

    これらのリスクを民間医療保険でカバーできれば、経済的な不安を感じることなく、自分に合った治療環境を選択しやすくなります。

    貯蓄を医療費で切り崩したくない人

    老後の生活費や介護に備えて確保している貯蓄を、医療費の支払いで大きく減らしたくない場合、民間医療保険は家計への負担を抑える手段となります。

    高額療養費制度があるとはいえ、入院や手術が重なれば、数万~十数万円の支出が数か月にわたって続くケースも珍しくありません。民間医療保険の給付金は、こうした一時的な出費を補い、家計への影響を抑える役割を果たします。

    また、給付金の使い道は自由なため、治療費以外に生活費の補填として活用できる点も、ライフプランを守るうえで大きなメリットです。

    治療や療養環境の選択肢を広げたい人

    お金を理由に治療法や入院環境を妥協したくないという方にとっても、民間医療保険を検討する価値は十分にあります。

    公的医療保険でカバーされるのは、原則として必要かつ適切と認められた医療の範囲です。全額自己負担となる最新の治療法や、セカンドオピニオンに伴う遠方への交通費・宿泊費など、医療そのもの以外にかかるコストが重なることもあります。民間医療保険でこれらの不足分を補えれば、自分や家族にとって納得のいく医療を、より自由に選択できる可能性が高まるでしょう。

    高齢者が医療保険に加入する際の注意点

    医療保険のご案内

    高齢になってから民間医療保険の新規加入や見直しを行う場合、年齢制限により加入できなかったり、保険料が割高になったりすることがあります。以下の注意点をあらかじめ押さえておきましょう。

    保険料は割高で加入年齢に上限がある

    高齢での民間医療保険への新規加入は、保険料が高額になりやすく、年齢によっては申し込み自体ができないケースがあることに注意が必要です。

    年齢が上がるほど疾病リスクが高まるため、保険料は割高になる傾向があります。また、多くの商品で加入年齢の上限が70~80歳前後に設定されており、その年齢を超えると健康状態にかかわらず新しく契約を結ぶことはできません。

    そのため、現在加入している保険を安易に解約してしまうと、後々「入り直したい」と思っても、高額な保険料がネックになったり、年齢制限で加入できなかったりするリスクがあります。

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    健康状態で加入できない場合がある

    高齢者が民間医療保険に加入する際は、持病や既往症(過去の病歴)がある場合、希望する保険に加入できない、または条件付きでの加入となるケースに注意が必要です。

    高齢期は持病を抱える方も増えますが、健康状態によっては加入を断られたり、特定の病気については保障対象外といった条件が付いたりすることがあります。持病があっても入りやすい「引受基準緩和型」の商品も選択肢に入りますが、通常の保険に比べて保険料が割高だったり、一定期間は保障額が削減されたりするといった制限があることも少なくありません。

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    公的医療保険制度を正しく理解し、過不足のない医療保障を考えよう

    高齢者は現役世代に比べて、所得区分によっては窓口負担が1~2割に抑えられるケースが多く、高額療養費制度による月額負担の上限も低めに設定されています。そのため、公的医療保険だけでも一定の安心感はあるでしょう。一方で、入院中の食事代や差額ベッド代、先進医療の技術料などは公的医療保険の対象外であり、すべて自己負担となる点には注意が必要です。

    「万が一の際に、蓄えてきた貯蓄を切り崩したくない」「治療環境を妥協したくない」という方にとって、民間医療保険は有効な備えとなる場合もあります。公的医療保険と民間医療保険それぞれの役割を整理したうえで、ご自身の価値観と家計の状況に合わせ、無理のない範囲で検討することが大切です。

    SBIいきいき少短の医療保険新規ウィンドウを開きます」は、84歳まで申し込みができ、保障は100歳まで継続可能です。たとえば70歳女性の場合、月々900円~といった手ごろな保険料で、入院・手術・先進医療に備えられ、日帰り入院や日帰り手術も対象となります。また、加入時の保険料が100歳まで変わらず、通院まで幅広く保障される「SBIの医療共済新規ウィンドウを開きます」という選択肢もあります。リスクに備えつつ保険料を抑えて加入したい方は、SBIいきいき少額短期保険を検討してみてはいかがでしょうか。

    B2-26-J-0091(2026.06.23)

    監修者プロフィール
    ファイナンシャル・プランナー 辻田 陽子 さん

    ファイナンシャル・プランナー

    辻田 陽子 さん

    FPサテライト所属ファイナンシャル・プランナー、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種、日商簿記2級。
    税理士事務所、金融機関での経験を経て、FP資格を取得。それぞれのライフイベントでのお金の不安や悩みを減らし、人々がより豊かで自由な人生を送る手助けをすべく活動中。

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    • 掲載している内容は、2026年6月23日時点のものです。
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