大切なペットとの“いきいき”とした暮らしのために
犬猫お役立ち情報
猫の生活
猫が吐く原因は?頻度や色などチェックしておきたい項目や緊急度を紹介
猫は体をなめて毛づくろいをする際に毛玉を飲み込むため、毛玉を吐き出す様子がよく見られます。
猫が吐いたときにこのままでいいのか、病院に連れて行ったほうがいいのかと悩むこともあるでしょう。
本記事では、猫が吐いたときにチェックしたい「タイミング」「頻度」「中身」「色」の4つの項目について解説します。緊急度にも触れますので、猫の嘔吐時に慌てないよう参考にしてください。
基本的に猫は吐くことが多い
猫は自分の体をなめてお手入れをするため、胃にたまった毛玉を吐き出すことがよくあります。特に、換毛期である春先と秋頃に増える傾向にあります。
一方で、まったく吐かない猫もいます。これは、便と一緒に毛が体の外に出ていると考えられます。個体差があるので、猫が吐かない、吐く頻度が少ないことを心配する必要はありません。
猫はストレスが原因で嘔吐することもあります。症状が嘔吐のみで、下痢などの症状がない元気な状態であれば、過度に心配する必要はないでしょう。なお、嘔吐と併せて、下痢などが続く、食欲不振、元気がないといった場合は動物病院の受診を検討しましょう。
猫が吐いたときにチェックしたい項目
猫が吐いたときに特にチェックしておきたいのは次の4項目です。
いつ、どんな嘔吐物をどれくらいの頻度で吐いたかなどのメモを残しておくと、動物病院にかかる際に獣医師に詳しい説明ができます。
タイミング
猫が嘔吐するタイミングを確認しておきましょう。食事から嘔吐までの時間が、病状や体調を把握する目安になります。
朝や食前
朝や食前などの空腹時に胃液を吐くだけで他に症状がなく元気であれば、緊急性は低いといえます。家で様子を見てもよいでしょう。ただし、肝炎や腎臓病の初期症状として黄色い液体を連続して吐くこともあります。黄色い液体を吐く症状が続くようなら、動物病院の受診を検討しましょう。
食後直後から食事数時間後
猫が食後に吐く場合は、食事をしてから吐くまでの時間で原因や症状が変わります。
吐いたタイミング | 解説 |
---|---|
早食いした直後 | 食べ物を一気に食べた直後に吐き戻して、けろりとしているときは食べすぎが要因の場合が多く、健康面での異常は多くない。 猫の食道は上の2/3が横紋筋、下の1/3が不随意筋の平滑筋でできているため、消化に時間がかかるだけでなく、食道に食事がたまりやすくなっていて吐き戻しが多くなる。ただし、毎食後嘔吐するような場合は動物病院での受診が必要。 |
食後すぐ | 食道や胃など、口に近い部位の異常が疑われる。食道が異物で塞がれたり傷があったり、圧迫されていたりする場合は、食べ物が喉を通らず筒状の形で吐き出されるケースも少なくない。 また、胃に異常があるときは食欲が減退するため、食事後に嘔吐する場合は胃内に異物がある疑いや幽門(胃の出口)付近の胃炎や狭窄が考えられる。 |
食後数時間後 | 腸などの消化器官に異常がある可能性が考えられる。 特に、嘔吐物が便のような形や臭いをしている場合は、十二指腸や小腸などの通過障害が疑われる場合もあるため、早めの受診が肝心。 |
頻度
1日に何度吐くのか、連日のように吐くのか、といった吐く頻度も気に留めておきたいポイントの1つです。
なお、一度に2~3回連続して吐くのはよくあることです。ただし、吐いたあとの様子がいつもと違う、元気がない、食欲がないといった場合は動物病院を受診しましょう。
ここでは頻度が多い場合の気にすべきポイントなどを解説します。
日に4回以上吐く
1日のうちに4回以上吐いている場合は、緊急度が高い腹腔内の病気などの可能性が考えられます。立て続けに何度も吐くと、脱水症状になることもあるため、早めに動物病院に連れて行きましょう。
毎日(3日以上連続)
3日以上の吐き戻しが続く場合は、消化器系疾患や誤飲・誤食などの可能性があり、緊急度の高い状態と考えられます。
また、実際に嘔吐せずとも、何度もえずきが続く場合は注意が必要です。胃や他の臓器に異常があり、嘔吐を起こす神経を刺激している可能性も想定しておきましょう。
嘔吐物の中身
猫が吐いたときは、嘔吐物の中身を確認します。
嘔吐物が毛玉の場合は生理現象なので、心配しなくていいでしょう。長毛種の猫は、吐く回数や量が多い傾向にあります。気になる場合は、毛玉を排泄しやすいフードに切り替えるなどで対処しましょう。
ここでは、毛玉以外の嘔吐物について紹介します。
餌がそのまま吐かれている
餌がそのまま嘔吐物として出てきた場合は、早食いや過食の際に空気を飲み込むことが原因と考えられます。食事が胃に到達する前だったり、胃の消化が追いつかなかったりして、ほとんど消化される前に吐かれることがよくあります。
特に、お気に入りのフードを与えると、早食いになるケースが見られます。その他、食事の間隔が空きすぎていて強い空腹感を感じている場合も早食いになることがあるため、注意が必要です。
何度も続かなければ緊急性は低く、すぐに病院へ連れて行かなくてもよいでしょう。
異物が混じっている
嘔吐物にフード以外の異物が混じっている場合は、緊急度が高い可能性があります。なるべく早めに動物病院に連れて行きましょう。
何かを誤飲してそれを吐き出した場合、誤飲したものすべてを吐き出したかどうか確認できません。すべて吐き出せば回復することもあります。しかし、異物が体内に残っている場合は、腸閉塞を起こす危険性もあります。特に紐状の物には注意が必要です。
また、猫回虫などの寄生虫を吐き出した場合も治療が必要です。猫回虫はそうめんに似た白くて細長い形をしています。消化管に寄生し通常は無症状ですが、人間に感染して内臓幼虫移行症を発症させる可能性もあるため、早めに獣医師に診てもらいましょう。
嘔吐物の色
診察を受ける緊急度を見定めるためにも、嘔吐物の色のチェックは欠かせません。どんな色か必ず確認しておきましょう。
動物病院に行く際は、嘔吐物を一緒に持って行くと、スムーズに伝えることができます。難しい場合は写真に撮っておくとよいでしょう。
ここでは代表的な嘔吐物の色ごとに解説をします。
茶色
嘔吐物が茶色いときは、胃や腸などの消化管から出血、もしくは炎症を起こしている可能性があります。加えて胃液や血液を吐き、脱水症状や下痢を伴うことがあります。緊急度は高いと考えられるため、できるだけ早めに獣医師に診てもらいましょう。
なお嘔吐物は、猫が嘔吐した直後に見たのか、ある程度時間が経ったあとに嘔吐物を発見したのかによっても、色の見え方が変わるので注意してください。
白色の泡・透明
嘔吐物が白色の泡や透明の場合、胃液を吐いている可能性が高く、空腹やストレスが原因と考えられます。
たとえば、朝などの空腹時に一度だけ白色の泡や透明の嘔吐物を吐いていたのであれば、空腹による胃酸過多によって引き起こされたと考えられます。小分けにした食事をゆっくり与えてみて、ふだんと変わらないようであれば、緊急度の低い状態といえます。
また、ストレスによる胃のむかつきでも直前に飲んだ水や胃液を吐きます。
ただし、白色の泡や透明な嘔吐物を何度も吐く場合は注意が必要です。
嘔吐が2~3日続く、脱水など嘔吐以外にも気になる体調の変化がある、といった場合は消化管閉塞や内臓疾患など、他の病気の可能性もあるため、早めに動物病院に連れて行きましょう。
赤色やピンク色
嘔吐物が赤色やピンク色の場合、疾病の可能性を否定できません。緊急性が高いと考えて、早めに動物病院に連れて行くことをおすすめします。
状況別に予想される病状は次の通りです。
状況 | 解説 |
---|---|
嘔吐物がピンク色で鼻からもピンク色の血液が出ている | 心臓性肺水腫の可能性があり、緊急度が高い。 異物や古い物を食べたり、感染症などを患っている場合は、消化器系の炎症の可能性も。さまざまな要因があるため、自宅で特定するのは難しい。 |
嘔吐物が赤黒い | がんや消化管内腫瘍の破裂など危険なケースがある。 |
その他の症状がない | 体内からの出血の可能性が高く、胃腸や肺などの異変が考えられる。 |
黄色
嘔吐物が黄色い液体の場合、胆汁の可能性があります。猫は空腹が続くと、胃の機能が低下し、胆汁が逆流することがあります。
空腹時に黄色い液体を吐き出したものの、その後元気に食事をしている場合、緊急度は高くないでしょう。
空腹の時間を減らすため、1日の食事量はそのままに、食事回数を増やしてこまめに食事をあげてみましょう。
ただし、2~3日同じような嘔吐が続く場合は、肝炎や腎臓病など他の疾病を患っている可能性があるため、獣医師に診てもらうとよいでしょう。
猫は吐くことが多いが、問題があればすぐ動物病院に
猫は体をなめて毛づくろいをするため、定期的に毛玉を吐きます。また、空腹の時間が長い、ストレスがあるといったことでも吐き戻すことがあります。
一方、何度も嘔吐を繰り返す、3日以上嘔吐が続く、嘔吐の中に血液が混じっている、下痢や食欲不振といった他の症状が見られるといった場合は、早めに動物病院に連れて行きましょう。
- ※掲載している内容は、2023年12月13日時点のものです。
- ※ページ内のコンテンツの転載を禁止します。