死亡保険の終身とは?特徴やメリットを定期保険と比較して解説
目次
死亡保険とは、被保険者が死亡または高度障害になった場合に保険金が支払われるタイプの保険です。大きく分けて、終身保険と定期保険の2種類があるため、どちらに加入すればよいかと迷う方もいるでしょう。
本記事では死亡保険の終身保険タイプと定期保険タイプの違いや共通点についてわかりやすく解説します。それぞれの特徴やメリット・デメリットについても触れますので、保険選びの参考にしてください。
死亡保険とは
死亡保険とは、被保険者が死亡した際に遺族などの受取人に対して保険金が支払われるものです。万が一の際の備えとして、利用されることの多い保険です。
死亡保険は大きく分けて、下記の2種類があります。
それぞれの違いについて見ていきましょう。
終身保険
終身保険は、加入してから亡くなるまで一生涯保障が続きます。途中で保険の更新がないため、基本的に保険料が途中で上がることはありません。
終身保険は解約しない限り保険金を受け取れます。また、途中で解約した場合、解約返戻金を受け取れる保険が多い傾向にあります。
定期保険
定期保険は、加入時に定めた一定期間だけを保障する保険です。定期保険の中には「更新型」のものもあり、更新する場合は途中で保険の見直しを行うため、その都度保険料が上がる場合が多くなります。
必ずしも保険金が支払われるとは限らないため、掛け捨て型の保険と表現されることもあります。また、途中で解約した場合、解約返戻金などはありません。
終身保険と定期保険の違い
ここまで、終身保険と定期保険の概要について紹介しました。この章では、それぞれの違いを整理して解説します。
終身保険と定期保険には、下記3つの点で大きな違いがあります。
一般的なそれぞれの違いを簡単に表でまとめると下記になります。
項目 | 終身保険 | 定期保険 |
---|---|---|
保険期間 | 解約しなければ一生涯続く | 一定期間の保障 |
保険料 |
|
|
解約返戻金 | ある | ない(もしくはわずか) |
詳しく見ていきましょう。
保険期間
終身保険の保険期間は解約しない限り一生涯続きます。
一方、定期保険の保険期間は一定期間のみとなっています。たとえば、5年、10年など年数で区切られるものと、65歳、70歳など年齢で区切られるものがあります。
保険料
終身保険は貯蓄の要素が含まれているため、同程度の保障内容の定期保険と比較した場合、保険料は割高になります。しかし、途中で保険料が値上がりすることはありません。
一方、定期保険は終身保険と比べ割安です。ただし、更新するたびに値上がりする場合が多い点は把握しておきましょう。
解約返戻金
終身保険であれば、途中で保険を解約した場合に解約返戻金が受け取れます。ただし、あまりにも加入期間が短いタイミングで解約すると、返戻金がない、または少額になってしまうケースがあります。
一方、定期保険には解約返戻金がないか、あったとしても少額となっています。
終身保険と定期保険の共通点
終身保険と定期保険には共通点も存在します。主には下記の2つです。
それぞれについて詳しく見ていきます。
保険金を受け取るタイミング
死亡保険は、終身保険・定期保険の形式を問わず、被保険者が亡くなったとき、または、被保険者が高度障害の状態となった場合に受け取れます。
死亡保険金を受け取るには受取人からの請求が必須です。そのため、死亡保険の被保険者が亡くなった際、受取人は保険会社に連絡をして、必要書類を保険会社に送付する流れが一般的です。
保険金の使用用途
死亡保険金の使用用途は、特に限定されているものではありません。亡くなった被保険者の葬儀費用やお墓代、遺された家族の生活費、子どもの教育費など、用途を問わず利用できます。
突然まとまったお金が手に入るので、何に使ったらよいかわからず戸惑う方も見受けられます。事前に、保険金の使い道について話し合っておくとスムーズです。
終身保険のメリット
終身保険と定期保険、どちらを選べばよいか迷う方もいるでしょう。終身保険を選択する主なメリットとして下記の3つが挙げられます。
それぞれについて詳しく見ていきます。
貯蓄性がある
終身保険は一生涯加入するため、中途解約しなければ保険金が受け取れます。また、途中で解約した場合でも、解約返戻金を受け取れるタイプが多い傾向にあります。貯蓄性の高い保険のため、資産運用の手段として利用している方もいます。
ただし、保険の種類や解約のタイミングによっては、解約返戻金の金額が異なる点は押さえておきましょう。場合によっては支払った保険料を大きく下回る金額しか受け取れないこともあります。事前に必ず確認しましょう。
相続対策ができる
死亡保険の被保険者が死亡した際に受取人に支給されるお金を死亡保険金と呼びます。死亡保険金は被保険者・保険契約者・受取人の関係により、かかる税金の種類が異なります。
たとえば、被保険者と保険契約者が同一人物で、受取人を配偶者などの法定相続人に設定している場合、相続税の対象となります。
定期保険の死亡保険では、契約満了後に亡くなった場合、死亡保険金を受け取ることができません。そのため、終身保険のほうが相続対策に向いているといえるでしょう。
死亡保険金の相続税について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
保険料の変動がない
終身保険は定期保険と異なり、途中で更新を行うことはありません。そのため、保険料が途中で値上がりすることなく、加入時の保険料が継続できます。
途中で保険料が上がるのが煩わしく感じる方は、定期保険よりも終身保険のほうが適しているといえるでしょう。
終身保険のデメリット
終身保険にはメリットだけでなく、いくつかのデメリットがあります。終身保険を選択する主なデメリットとして下記の2つが考えられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
保険料が高い傾向がある
同程度の保障の定期保険と比較した場合、終身保険のほうが保険料は高額になります。これは、定期保険が掛け捨て型なのに対し、終身保険は貯蓄性を伴うためです。
そのため、月々の保険料を安くしたい方にとって終身保険は向いていないと言えるでしょう。
特に就職したばかりの時期や定年退職直後などの時期は、収入と支出のバランスを考えたうえで保険への加入を検討しましょう。
保険の見直しがしにくい
定期保険と違い、終身保険は一度加入すると途中で見直しのタイミングがやってくることはありません。
たとえば、子どもに教育費がかかる期間や配偶者を扶養している間だけは死亡保険金を増やしたい、と考える方もいるでしょう。
このように、ライフステージに合わせてその都度保険の内容を見直したい方には、終身保険は向いていない可能性があります。
定期保険のメリット
ここまで、終身保険のメリット・デメリットについて見てきました。
ここからは、定期保険のメリットについて解説していきます。定期保険の主なメリットは下記の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
保険料が安い傾向がある
定期保険は貯蓄性のない掛け捨て型の保険です。保険期間終了後や中途解約をした場合に保険金は受け取れません。そのため、同内容の終身保険と比較した場合、保険料は安くなります。
保険に貯蓄性は求めない、毎月の保険料をできるだけ安くしたいと考えている方にとっては、定期保険が適しているといえるでしょう。
特定期間の保障が手厚い
定期保険は、保険期間が決められている保険です。自分の状況に合わせて選べるため効率よく、必要に応じて手厚い保障を得ることが可能です。
子育ての時期や扶養する家族がいる時期などに保障を手厚くしたいと考える方に適した保険といえるでしょう。
定期的に保険が見直せる
定期保険に加入すると、定期的に更新を行う必要があります。ライフステージにより必要な保障内容や保険金を変えたい方に適している保険となっています。
また、就職して間もない時期や定年後は高額な保険料を支払いたくないと考える方もいるでしょう。定期的に保険を見直せるため、ムダな保障があった場合などは削ることが可能です。
定期保険のデメリット
ここまで、定期保険のメリットについて見てきました。一方、定期保険にはデメリットもあります。代表的なものは下記の2つです。
それぞれ詳しく解説します。
更新すると保険料が上がる
定期保険の中には更新型のものがあります。更新型の場合、保障内容を変更しなければ、年齢に応じて保険料は基本的に高額になります。
終身保険は一度加入すると原則ずっと同じ保険料ですが、定期保険は更新のたびに保険料が上がっていきます。また、保険料が高額になり途中解約した場合でも、解約返戻金はありません。
更新に上限がある
定期保険は一生涯加入できる終身保険とは違い、加入できる年齢や更新・保障年齢に上限が設けられています。
そのため、ある一定の年齢を超えると更新できなくなるケースが多いです。途中で保険が更新できなくなる点はデメリットといえるでしょう。
なお、加入年齢・更新年齢・保障年齢は保険商品によって異なります。いつまで更新できるのか、必ず確認しましょう。
終身保険と定期保険の特徴を理解して、自分に合った保険を選ぼう
本記事では死亡保険の終身保険タイプと定期保険タイプの違いや共通点について解説しました。
終身保険は一生涯加入できる保険です。貯蓄性がある点や途中で保険料の値上がりがない点は魅力といえるでしょう。また、中途解約した場合に解約返戻金が受け取れることも魅力の一つといえます。
一方の定期保険は、一定期間のみ加入できる保険です。貯蓄性はありませんが、終身保険と比較すると保険料は割安です。手厚い保障を一定期間付けたい場合に適しているといえるでしょう。
定期保険は定期的に見直しができるため、ライフステージに応じて保障内容を見直したい場合に向いている保険です。ただし、更新年齢に上限が設けられている点は留意しましょう。
終身保険と定期保険の特徴をよく理解したうえで、自分に合った保険を選ぶことが大切です。
監修者プロフィール
TLC(トータル・ライフ・コンサルタント)
佐瀬 大介 さん
5年間外資系保険会社で生命保険業に従事。現在は金融商材全般を取り扱い、お客様の将来における資金問題を解決する総合FP業を行っている。
- ※本ページ上の保険の説明は、一般的と考えられる内容を掲載しています。個別の保険商品については、各保険会社の公式サイトをご確認ください。
- ※掲載している内容は、2023年4月25日時点のものです。
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