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いきいき生活の知恵

第7回 老後資金が足りるか否かは、介護の有無によっても変わる

 人生100年時代といわれる今。老後資金が足りるか、不足するかは、介護の有無によっても異なるように感じます。そのように考えると、老後資金を見積もる際は、介護費用についても検討しておく必要があります。そこで今回は、「介護に対する備え」を考えていきます。

介護プランが甘いと、身内に面倒をかける確率が高くなる

 老後資金のご相談を受けている中でよく耳にするのは、「万が一介護状態になっても、できるだけ子どもたちに面倒はかけたくない」という言葉。そのような言葉を聞いたとき、「それでは、どのような準備をしていますか?」と聞き返すと、「毎日、ラジオ体操をしています」とか、「健康に気を配った、バランスの良い食事を摂るように心がけています」などといった答えが返ってきます。
 体操をしたり、食事に気を配ることもたしかに大切ではあるものの、資金計画についても具体的に考えておく必要があります。その際は、どの程度の介護状態になったら高齢者施設に住み替えるのか、あるいは重度の介護状態になったとしても、高齢者施設への住み替えはしないつもりなのかを一生懸命に考えてみるのです。
 施設へ住み替えるとしたら、多くの方は特別養護老人ホーム(以下、特養)以外の選択はないと考えがちです。 疑問を持つ老夫婦たしかに特養であれば、ひと月5~16万円くらいの負担(収入によって異なる)で重度の介護まで受けられます。
 ただし、特養で新規の申し込みができるのは原則として要介護3以上。終の棲家は特養だとしても、要支援のときや要介護1~2のときには、どこで待機をするべきかを考えておく必要があるのです。現実的な待機場所としては、介護付有料老人ホームになることが多いでしょう。

60歳を過ぎたら、ぜひ高齢者施設見学を

 私は60代以上のご相談者には、「できるだけ、高齢者施設の見学に行ってみてください」と促すようにしています。在宅で介護を受けたいと希望しても、実際には住み替えざるを得ないケースがたくさんあるからです。
 ところが現実には、実際に住み替えざるを得ない状況になるまで、一度も見学をしたことがない方がたくさんいます。住み替えざるを得ない=在宅での介護が難しい状況になってきた段階で住み替えをする場合、住み替え先の選定に時間をかける余裕がありません。2つか3つの施設を見ただけで、急いで住み替えてしまうケースでは、予算的に多少無理だと感じても、「何とかなるだろう」という甘い見通しを立てがち。住み替え後、何年か経ってから、最期まで払いきれないのではないかという不安にさいなまれる方が少なくないのです。
 急いで住み替える際は、自身の寿命の見込みも甘くなりがち。自宅で暮らしている間は、自分の好きなものだけを食べ、アルコールなども好きなだけ飲んでいた方が、1日30品目以上の栄養バランスの良い食事を摂り、日常的に体操をしたり、職員や入居者と会話をしたりすると、入居前の想定以上に長生きすることが多いからです。
食事を運んでもらう老夫婦  長生きは喜ばしいこととはいえ、資金面からみればリスクにつながります。長生きをしても老後資金が底をつかず、さらには納得のいく介護を受けられるようにするためには、元気で、判断能力がたしかなうちから、自分の年金や貯蓄で入居できそうな高齢者施設の目星を付けておくことが欠かせないのではないでしょうか。

「介護型ケアハウス」を探す方法もある

 要介護状態になったときの費用を抑えたいのであれば、介護ケアハウスに入居する方法もあります。介護型ケアハウスは、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設で、要介護認定を受けた方が住んでいます。
 特別養護老人ホームへの入居が難しい要介護1や2の方でも、介護型ケアハウスなら入居が可能。最終的に特養への入所を希望するとしても、介護型ケアハウスで介護を受けながら、特養の待機ができるわけです。介護型ケアハウスにかかる費用は、都市部では、ひと月20万円くらいになるところもありますが、一般的にはひと月10~18万円程度。収入に応じた負担になるため、同じ施設で介護度が同じでも、負担額は異なります。
 問題は介護型ケアハウスは数が少ないこと。ネットで検索しても、もともとヒットする数が少ないうえに、評判の良し悪しまではわかりません。健康なうちから探したとしても、評判の良い介護型ケアハウスを探すのは困難なのに、介護が必要になってから探すのは至難のワザともいえるのです。
 介護型ケアハウスを探すのは難しいため、特養に入居するまでのあいだは、介護付有料老人ホームで待機するプランを立てるのが無難かもしれません。その際、都市部ではひと月25万円くらいの費用が必要になりますが、20万円を超える負担がキツイのであれば、地域を変えて探すのが現実的です。地域によっては、15万円以下の負担で介護が受けられる介護付有料老人ホームがあるからです。
 「住み慣れた場所から離れたくない」と考える方は多いはずですが、場所にこだわったために老後資金が底をついては元も子もありません。いずれにしても60代になられたら、住み替えはしたくないと思う人も、高齢者施設の見学だけはしておくことをおすすめします。
ベッドで介護を受けるおばあさん  実際に見学をしたうえで、「絶対に住み替えはしない。どんなに不便でも、自宅で最期を迎える」と考えるのはOKです。在宅介護と施設介護を天秤にかけたうえで在宅介護を選択すれば、実際の暮らしで不便なことが起こっても、自分自身の選択。不便な生活にも、覚悟が持てるのではないでしょうか。

ハワイの高齢者施設を見学してみた

 今回の最後は、ハワイの高齢者施設をご紹介します。
 私は2002年に、人生で初めて高齢者施設を見学しました。見学先は、取材で訪れたアメリカの高齢者施設。アメリカの高齢者施設を6~7か所見学した私は、自分が住んでいる国の高齢者施設の見学をしたくなり、帰国後すぐに、数件の高齢者施設の見学に行きました。
 以来、18年間で300回を超える見学を続けています。見学を続ける中で、少し前にハワイ(オアフ島)にある高齢者施設を見学してきました。それが写真でご紹介している高齢者施設です。
 こちらの施設は、日本の施設に置き換えれば、サービス付き高齢者向け住宅にあたります。比較的元気な高齢者が暮らしていて、施設側は生活相談などを受けるほか、食事の提供をしています。プールやトレーニングルーム、図書館などの共用施設があるほか、アクティビティのメニューも充実しています。定期的に運行しているシャトルバスを利用すれば、ショッピングセンターなどにも行けます。介護が必要な方は、併設されているナーシングホームに移動して、自分自身で看護師と契約すれば、介護を受けながら居住し続けることも可能です。

ワイキキ高齢者住宅(外観)

ワイキキ高齢者住宅(外観)

図書館

図書館

トレーニングルーム

トレーニングルーム

プール

プール

 私が足を運んだ日は、運よく快晴の天気。海を望める高台にある施設で、のんびりと暮らしている高齢者の方々の生活ぶりを垣間見ることができました。見学当日は、モデルルームや共用施設を見学させてもらうとともに、入居者と同じ昼食もいただきました。食事は3つのメニューからの選択制で、気に入ったメニューがないときは、サンドイッチなどの常食からも選択できます。
 私たちに用意されたのは、メインがチキンの献立。見た目は若い人が食べるランチのようでしたが、高齢者向けに、薄味でやわらかく仕上げられていました。デザートは3つあるうちから好きなものを選択できます。

食堂

食堂

選択式の食事

選択式の食事

昼食のメイン料理

昼食のメイン料理

デザート

デザート

 ハワイの高齢者施設の見学をして、公的介護保険のないアメリカでは、どのくらいのお金があれば、施設介護を受けられるんだろうと真剣に考えてしまいました。
 2002年にアメリカを取材した際、現地の老人法の弁護士から「アメリカ人は介護が必要になると1年以内に破産する」という話を聞いたことがありました。その言葉をふと思い出し、公的介護保険に支えられている日本人であることの、ありがたさを実感した見学にもなりました。

ファイナンシャルプランナー 畠中雅子さん

お話をうかがった方

ファイナンシャルプランナー

畠中 雅子 さん

【プロフィール】

大学時代にフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。

新聞・雑誌。ウエブなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、 講演、相談業務などをおこなう。

教育資金アドバイスを行う「子どもにかけるお金を考える会」、高齢者施設への住み替え資金アドバイスを行う「高齢期のお金を考える会」、主にひきこもりのお子さんの生活設計を考える「働けない子どものお金を考える会」を主宰している。

著書は、「貯蓄1000万円以下でも、老後は暮らせる!」(すばる舎)ほか、70冊を超える。

プライベートでは、社会人の娘、大学生の息子2人の母。

  • ※掲載している内容は、2020年8月27日時点のものです。
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